第五十九話
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
わせる魔力の塊を消し去った!
【大楯】
如何な攻撃とてその全てを掻き消す、誰にでも使え……そして、誰にでも使えるものでは無い……
いわば、"ヒト"が見いだした"奇跡"
狙いはあやまたず、奴の腹部に大剣が突き刺さり、貫かれて顔を出した切っ先は血にどす黒く濡れていた。
だが、驚嘆すべきことに奴は双眸をギラつかせ、なにごとかを叫ぼうかとしたのだが………
凄まじい熱に俺の背面は包まれ、思わず倒れそうになったが……これは狙ったものなのだ。
アルヴィスが俺へと放った燎原之炎は、俺への重い火傷とマンフロイへのトドメと相成った。
……俺を焼き尽くせという奴からの命令と、アルヴィス自身が望んだであろうマンフロイへの抵抗。
その両意を果たした彼は頭を両手で押さえ、くぐもった声をあげ続けていた。
その場にがっくりと膝を着きそうになる自分を叱咤し、大剣は……杖替わりにせず、なんとか踏みとどまる。
木板に刺さった槍を渾身の力を籠めて引き抜き、炭の塊となったマンフロイだったものが目に入り、はっとしてイザーク王家の二人を見やる。
二人とも未だ存命のようで安心したが、マリクル王子はいくつも傷を負い、流れた血が鎧下の衣類を赤茶色に染め上げ、立っているのが不思議なくらいだ。
全身に気合を入れ、マナナン王の背後へ回り込み、両足の間に槍の柄を差し入れ転ばせようとしたが簡単に避けられた。
「こちらはいい!、ミュアハ王子、アルヴィス卿を討て!」
「なれど、殿下が危うい!」
「なぁに、今日こそ父上を超えるというもの!」
「バルムンクを抜いた陛下にここまで互角に戦っているあなただ! 既に陛下を超えておられる!」
「……嬉しいことを言ってくれるッ!」
槍の牽制で態勢が崩れたところを、マリクル王子は己の父に斬りかかった。
この父子は互いに剣舞でも演じているかのような動きを繰り広げ、思わず魅きこまれそうになるが、無粋な俺はマナナン王の側面に回り込むと、つばぜり合いになった瞬間を狙ってマナナン王の足を払い、転倒させた。
それを見計らったマリクル王子は剣を巻き上げ、父の手よりバルムンクを刎ね飛ばし、跳躍すると空中でそれを握りしめた。
その行方に目をやっていた混乱中のマナナン王の顎に、俺は槍の柄で殴りつけ脳震盪を起こさせた。
互いに顔を見合わせた俺とマリクル王子は、未だ頭を抱えて呻いているアルヴィスを見やる。
「……今、アルヴィス卿の心の中では熾烈な戦いが繰り広げられていると思われます。 確かに討ち取るならば易しと見受けられるが、正気を取り戻されるやも知れません」
「ならば、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ