黄巾の章
第12話 「それが『正義』ってやつだろ?」
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とる桃香。
おいおい……盾二は『モノ』扱いかいな。
ある意味不憫やな、盾二……
思わずなーむーと言いたくなってもうた。
なーむーってなんや?
―― 盾二 side ――
「へーくしょん! と、すいませんね、将軍」
「いや……私はもう将軍ではないのです。畏まった呼び方はご遠慮願いたい」
「ああ……失礼。ただ、貴方は年上ですからね。では名前を捨てていただけると?」
俺がそう言うと、馬元義はこくっと頷いた。
「私は元々、宦官への恨みで黄巾に参加しました。その私を助命し、なおかつ私の為に功まで捨てるとおっしゃった貴方のご好意……これを受けなければ私は人ではなく、犬畜生にも劣る」
「いや、まあ……そこまでご自身を卑下しなくても。貴方は貴方なりの理由もあったのですから」
「ありがとうございます……そこで勝手ながらお願いがあります」
「はい?」
「私を貴方に仕えさせてはいただけまいか?」
「は!?」
え?
なんで?
「いや、あの……俺、いや、私は無位無官ですよ? 禄なんて与えられないし、部下なんてものは……」
「では、義兄弟! 兄者と呼ばせていただきたい!」
「いやいやいや! 俺にはもう、兄弟がいるし! そもそも貴方いくつですか! 俺はまだ十八ですよ!」
なんで髭面のおっさんに兄と呼ばれねばならんのだ!
「確かに私のほうが年は上です。ですが、貴方のような仁義溢れる方に我が兄として世を変えていただきたい! 私はその為に喜んで盾となりましょう!」
「いや、盾は俺の名前……ああ、もう! 義兄弟はともかく、仲間になっていただけるならば大歓迎です! それでよろしいか?」
「は! 忝い、兄者!」
「だからあ! せめて名前で呼んでください! 兄者はパスで!」
「ぱす……? では盾二殿と呼ばせていただきます! 禄など無用! この命、貴方の為に!」
うう……なんだこれ。
俺、こんな年上の方に兄とか呼ばれて着いて廻られるの?
「と、ともかく……名前は変えないといけないので。何か自分で案はありますか?」
「そうですね……こちらには西涼の馬超どのもいると聞きました。なら姓である馬はそのままで、名を変えてはいかがでしょうか?」
「ふむ。どんな名前にします?」
「馬……ばりょう……馬良とか、馬謖なんてどうでしょう?」
「いやいやいや……まずいでしょ、それ」
「そうですか?」
そもそも今が黄巾の時代なら、百八十四年前後だろ?
二人とも生まれてねぇよ!
「そ、その名前はちょっとまずいので……そうですね。元義……正義、仁義。姓は馬、名は正、字を仁義にしては?」
「馬仁義……おお!」
馬正…
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ