黄巾の章
第12話 「それが『正義』ってやつだろ?」
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言葉にウチも、隣にいた翠もポカンとした顔で盾二を見る。
盾二の横にいた桃香は、眼をキラキラさせて盾二を見とる。
……かなわんなぁ。
ほんまにかなわんわ。
「(ぼそ)義侠、やな……」
「うん?」
「なんでも、ない。ええやろ。ただし、そいつには名前を変えさせるんやで。あんさんが責任もってな」
「ああ。ありがとう、霞」
そう言って人懐っこい顔で笑う。
……あかん。
顔が紅くなるのを自分でもわかる。
「(ぼそ)またその笑顔かよ……」
隣の翠が、同じように顔を紅くして呟いとる。
ああ、翠も同じやな。
盾二は、天然のたらしや。
「じゃあ、俺は話をしてくる。もうすぐ罠を始末した朱里や雛里も帰ってくるだろうから、その後はどうするか皆で話し合おう」
そう言って足早に去っていく盾二。
ウチと翠と桃香は、その場で盾二の背中を見つめた。
「……あんさんはいかんでええんか、桃香?」
「うん。私は元義さんって人と面識ないもん。それにご主人様に任せておけばいい方向に向かうって思うんだ」
「そっか……」
「(ぼそ)やっぱり盾二って格好いいよな……」
「「はっ?」」
「はっ!?」
今、なんて言った?
隣を見ると、翠が耳まで真っ赤になって口を押さえとる。
「翠?」
「……翠ちゃん?」
「いや、いやいやいやいやいや! い、今のはつい、ポロッと本ね――じゃない! そう、つまり――」
わたわたと慌てながら説明しようとする翠。
なんやなんや。
ニヤニヤと顔が緩む。
「あんさん……」
「翠ちゃん……」
「「惚れたな(ね)」」
「○×※@*¥&%#$っ……!」
意味のわからない言葉が、翠の口から漏れる。
それは何語や?
「べ、べぇつにぃ! 盾二のことなんて、ほ、ほほほ、惚れたってだ、誰が、誰、誰も……」
「……盾二のことやなんて、ウチら一言もいっとらんけどなー」
「そうだねー霞さん」
「ぎ、が、い、いや、べ、別にそんな、ぁ……(もごもご)」
うひひひひ。
初々しいのう。
そんなに盾二のことが気になってん?
会ってまだ間がないのに、恋に時間は関係ないんやねー
「って、桃香はええのん? 恋敵にならんのかいな」
「え、私? ご主人様のことは大好きだよ」
おおう……
臆面もなく言いおったわ。
これは……翠の勝ち目は薄いかもしれへんなぁ。
「でも、ご主人様のことは愛紗ちゃんも朱里ちゃんも雛里ちゃんも大好きだし。鈴々ちゃんは……まだそういうのは早そうだけど。ご主人様は皆のものだから。だから別に気にしないでいいんだよ、翠ちゃん!」
「あ、あうあう、あ……」
そう言って、いまだ慌てている翠の手を
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