黄巾の章
第12話 「それが『正義』ってやつだろ?」
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「すでに義勇兵と一緒に動いとることは報告しとる。あんさんを助けた盾二たちや。功はきちっと報告せなな」
「……ありがとな、霞」
「やめやめ。次はうちらの本領発揮して、うちら自身の功を立てるで! 盾二たちに負けていられるかいな!」
「応っ!」
ウチの言葉に翠が応える。
ふふっ……どうやら完全に復活したようやな。
先の大敗で心が折れたかも……と心配しとったんやが。
「霞、翠」
ウチらを呼ぶ声に振り向く。
そこには、盾二と桃香がおった。
「おつかれさーん。後始末はまかせといてぇな」
「ありがとう。今回はいろいろ幸運が重なったよ。一番楽な手で最初から最後までうまくいった」
「実際、三つの方針、八つの計なんぞいらんかったってことか?」
「いやいや……策はいくつも用意しておくものだよ。よく言うだろ、一つの策を練りに練るもんじゃない。策は多いほうが勝つって」
「そうなんか?」
「だったと思う……誰の言葉かは忘れた」
そう言って苦笑する盾二。
なるほどなぁ……策は多いほうが勝つ、か。
「まあ、俺自身が考えたのは三つ程度。あとは朱里と雛里が考えたものだよ。流石は孔明と鳳統というところだな」
「自分の臣を褒めちぎりよって……自我自尊っぽいで」
「ははは。自慢自慢」
そう言ってカラカラと笑う。
まったく……憎めん男や。
「そうだ。あの将……馬元義のことだけど」
「ん? ああ……確か宦官から個別に捕らえて極刑にするようお達しが出ている奴やね。そんな極悪人には見えんかったが……」
「そりゃそうだろ。俺も話したけど、どうやら宦官の賄賂を断わって嵌められたらしいからな」
「なんやて!?」
宦官どもめ……無実の人間を、賄賂をもらえなかっただけで殺すっちゅうんか!
どこまでも腐っとる!
「このままだと彼は都で死刑だろ? でも俺は助けたいんだよ。桃香も賛成してくれた」
盾二の言葉に、コクコクと頷く桃香。
そりゃ、ウチだって無実の人間を殺すなんて後ろめたい事したいとは思わへんけど……
「どうするつもりや?」
「彼には名を捨ててもらおうと思う。で、馬元義には死んでもらって、彼は黄巾の兵ということにできないかな」
つまり報告を捏造しろと……
あからさまな不正やな。
しかし、臆面もなくそれをウチに言うとは……
「その意味、わかっとんのかいな?」
「無論。叶うなら今回の功はなかったことにしてくれていい」
そこまでかいな……
「なんでや? 相手はただの黄巾の武将やろ? あんさんにとってそんなに大事なやつかいな」
「いや、別に。たださ」
盾二は、言葉を区切って微笑む。
「それが『正義』ってやつだろ?」
その
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