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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第12話 「それが『正義』ってやつだろ?」
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 私は落とした剣を手に、息も絶え絶えに構える。
 そうだ。
 私は武人だ。
 たとえ相手に敵わず、一撃を与えられないとしても。
 最後まで誇りと共に。

「いくぞぉぉぉぉっ!」

 私は残りの力の全てを持って剣を振り上げ、振り下ろした。
 北郷は――避けなかった。




  ―― 盾二 side ――




「……ケリは着きましたか?」

 俺は、倒れている馬元義にそう言った。
 彼はぜいぜいと息を荒げて、仰向けに倒れている。
 その手には、根元から折れた剣が握られていた。

「……お、お主、どうして、斬れないの、だ……」
「私の服は防刃、防弾の衣です。一流の武将の一撃でもなければ内部へのダメージ……傷すらありません」
「ふ、ふふ……ずる、だな」
「そうですね……すいません」
「は、は、は……わたし、は、二流と、いうこと、だな……」

 息を整えながらも、自嘲して笑う馬元義。
 まあ食らってもダメージはないし、彼の攻撃はいくらでも避けられる。
 けど、最後の一撃。

(ちゃんと心には喰らったさ……)

 そう独りごちて、微笑んだ。

「もう、いい……好きにしろ」
「はい。将軍もここにいる全員も降伏してもらいます。いいですね」

 俺は周囲を見回すと、黄巾兵たちはそれぞれ武器を地に捨てた。




  ―― 張遼 side ――




 盾二が相手の将を説得に行ってしばらくした後。
 盾二を先頭に、黄巾の兵が下山してくるのが見えた。
 全員戦意は消失しており、兵が傍に寄ると従順に縛についていった。

「やー……しっかし、まさか二万もおったとは」

 ウチが言うと横にいた翠も頷いた。
 砦に残っていた兵は九千前後。そのうち千ほどは盾二が一人で片付け、残りは砦の陥落で半数は逃げ、半数は降伏した。
 残ったのは山の反対側にいた一万ちょいの部隊。
 こちらはほとんど被害もなく、そのまま降伏している。
 若干名、麓の罠で死んだり、負傷した者もおったようやが。

「まともにやっとったら被害おっきかったなー……こっちは兵の数でも負けとるしな」
「そうだな……正直、あたしなら持久戦ぐらいしか思い浮かばないよ」

 翠の言うとおりや。
 相手の兵が多い上、砦に籠もられる。
 援軍を頼る以外に落とせる気がせえへんかったのに……

「こりゃ、盾二や桃香をどこかの刺史にでもせんと釣りあわん武功やな……」
「あれ? 霞が総大将ってことで自分が功を得ないのか?」
「あんたなあ……いくらウチでも他人の功を取ったりせえへんよ? それに普通、先の大敗の後でこんな勝ち戦して、それを自分の功なんて恥ずかしくて言えるかいな」
「まあ……確かになあ」
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