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Another World
第一話「転生ですか? はい大好物です」
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「トラヴィス、最近のお主の生活には呆れてものも言えんぞ。仕事はせずに娯楽に時間を費やし食っては寝る生活を送る。自分で何か思うところはないか?」


「べっつにー、仕事なんて十年先まで済ませてあるし、あとは何しようが俺の勝手っしょ」


「そうもいかん。お主は人間を守護する神としての自覚が足りんのだ。この際だ言っておこう。儂はとある決意をした」


「なになに? リー○二十一にでも通う?」


 軽口を叩く俺を無視して先に進めるジジイ。


「お主にはその軟弱な精神を改めてもらうため、転生してもらう。今のままでは、ええっと……にーと? になるのが目に見えておる。その世界で人生をやり直して性根を叩き直して来い」


「な、なんだってー! ちょ、ちょっと待ってよ、異世界ってどの世界よ? 文明レベルがクソだったらゲームできないじゃん!? まだ積んでるゲーム十作もあるのに!」


「ちなみにお主の持ち物をやることは出来んぞ。そんなことをしたら転生した意味がなくなるわい。ああ、またこっちに戻れるようにはしてやるから」


 ジジイの言葉を聞いて背筋に雷のような衝撃が走った。な、なんてことだ……これでは娯楽という娯楽が、俺のバイブルが消えて無くなってしまうじゃないか!


「じょ、冗談じゃない! そんなことしたら、俺はなにして遊べばいいんだ!? ネットどころかゲームもない世界なんて嫌だぞ俺はっ!」


「安心せい。ねっともげぇむもないところだ」


「安心できるかー!」


 しかし、ジジイは聞く耳もたんといった風情でパパッと書類にペンを走らせた。


「あっ、テメ――」


「ではの、精々向こうでその性根を叩き直して来い」


 足元に黒い穴が開き、言い終える間もなく俺の身体は重力に捕らわれた。





   †                    †                    †





 トラヴィス様が転生されるのを見届けたレンバルト様は重い溜め息を吐かれました。


「はぁ、いつかはこうなるかと思っていたが、ついにこの日が来たか……。あやつのグウタラな性格はどうにかならんものか」


 頭痛がするとでもいうように額に手を当てたレンバルト様は力なく首を振りました。


 確かに最近のトラヴィス様は日々ゲームや漫画を読んでお過ごしになられて、以前のような精力をあまりお見せになりません。しかし、そんなトラヴィス様は悩みを抱える天人や天使たちの相談に乗られるなどお優しい心を持っています。気さくな性格もあって部下や下々の者どもの信用も厚く人気は絶大です。根っこの部分の優しく気高い以前のトラヴィス様と変わりありません。

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