第八十三話 おっさん程度じゃ、まだまだだな
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瞬間フービはその場から姿を消す。
いや、消えたように素早く動いたのだ。
闘悟の目前に来ると、両手を組んで上から振り下ろす。
闘悟は後ろに跳ぶ。標的を失った両腕はそのまま地面に衝突する。
ドゴォォォッ!!!
凄まじい衝撃音とともにクレーターを作成する。
闘悟はそれを見てヒュ〜と口笛を吹く。
「やるなぁ、フービのおっさん」
「おっさんだと? 俺は十八だ!」
あ、そうなの?
いや〜実際三十代でも通ると思うけどな。
失礼なことを心の中で考える。
「いやいや、確かにすげえ力だよ。そんな力で暴れられたら、まさに鬼だな」
「だが、当たらなければ意味が無いと言うつもりか?」
「ん? いんや、そんなこと言わねえよ?」
「これでもかぁっ!」
いやいや、人の話を聞けよな。
フービは全ての魔力を右拳に宿す。
恐らくあれで殴られたら、人などあっさり粉砕されてしまうだろう。
「粉々になれぇっ!!!」
勝ち誇ったような表情を見て、闘悟は「仕方ねえ」と呟き、そのまま動かずに、何と無防備に攻撃を受けた。
聞こえはしないが、クィルは今頃叫んでいるだろうと思った。
心の中で「心配いらねえよ」と言う。
フービは確かな手応えを右腕に感じながらも、不可思議な出来事に驚愕していた。
自分は確かに全力で闘悟の腹に一撃を入れた。
地面に大きなクレーターを作るほどの攻撃だ。
鎧も身に着けていない人間がまともに受ければ体が粉砕するはずだった。
だがこれは何だと目の前の人物を見つめる。
自分の攻撃に吹き飛びもせず、何事も無いようにその場に立っている。
そして、その口元が緩んでいる。
「それが全力か?」
「ば、ば、馬鹿な……っ!?」
その時闘悟からフービとは比較にならないほどの魔力が放たれる。
フービはあまりにも凄まじい魔力の圧力に押され腰を落とす。
「当たらなければ意味が無いなんて言わねえよ。だってな……」
「う……」
「当たっても意味が無えし」
闘悟は不敵な笑いをフービに向ける。
闘悟の魔力がフービの周囲を包む。
命を握られている感覚がフービを支配する。
何もしてはいないのに汗が体中から噴き出てくる。
足が震えて力が入らない。
「……ば……化け物……」
目をひん剥き、声を震わせている。
それを見ている観客も同様の思いだ。
「そうだな。鬼程度じゃまだまだだったな」
「く、来るなっ!」
「またな。ま、次があればだけど」
闘悟はそう言うと、フービの腹に一撃を入れる。
「がはぁっ!!!」
その一撃は地面にも
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