第八十三話 おっさん程度じゃ、まだまだだな
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力と同じようなものです。あまりにも強い精神力が自分に流れ込んできているのと同じです。そのため意識が保てなくなります」
モアはなるほどと頷いている。
観客も解説を夢中になって聞いている。
それはフービも同じようで、静かに耳を澄ませている。
「人が魔力を感じるのは、自分にも魔力があるから。ですが、あまりにも強い魔力を感じると、人は無意識に拒絶反応を起こします。あれほど強い攻撃意思を宿した魔力を流し込まれたら、普通はああなります」
フレンシアは倒れている者を指す。
「で、ですが、先程三十八人に魔力を流したとフレンシア様は仰いました。どうしてフービ選手には流さなかったのでしょうか?」
そう、フレンシアの見立て通り、闘悟はフービには魔力を流さなかった。
「その理由は彼自身が語ってくれるのではないでしょうか?」
フレンシアが微笑しながら楽しそうに闘悟に視線を送る。
「とにかく、このような状況を一瞬で作れる者は初めて見ました」
「こ、これは驚きです! トーゴ選手の行為は、まさに神業(かみわざ)とも言うべき所業だったようです! あの三賢人のフレンシア様でさえ驚愕に言葉を失いました!」
その瞬間、あちこちから闘悟に関して言葉が聞こえてくる。
興味、嫉妬、畏怖(いふ)、様々な感情が闘武場を包む。
「俺からも聞こう。何故俺にだけ残した?」
突然フービが声を掛けてくる。
「なあに、それを外さねえでやられちまったら、不完全燃焼になるだろ?」
闘悟はフービの『魔封輪(まふうりん)』を指差して言う。
「それに、さっきみたいな不意打ちで勝っても嬉しくねえしな。アンタみたいな輩(やから)は、思い知らせてやらなきゃ」
「何をだ?」
「上には上がいるってことをな」
「…………ふふふ」
相変わらずのフランケンのような表情で笑うフービ。
本当にホラーのようだ。
フービは『魔封輪』を外しながら言葉を放つ。
「もう一つ教えろ。先程の地震は何だ?」
「あれはな、『震脚(しんきゃく)』って技だ。まあ、魔力を使ってるから『魔震脚(ましんきゃく)』とでも名付けようかな?」
闘悟は初めて技らしい技に、自ら名前を付けた。
「凄まじい技だ。なら俺も見せよう! 『黄鬼(おうき)』と呼ばれる所以(ゆえん)をな!」
凄まじい魔力がフービから迸(ほとばし)る。
彼が学生レベルでは『魔封輪』を外せないと言った理由が分かる。
この魔力量はまさに天分(てんぶん)。
あのミラニよりも多い。
その魔力を全て身体強化に注ぎ込む。
「ゆくぞ?」
「ああ、来いよ」
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