暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-26船旅
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
し訳ありません……」
「わたしは、大丈夫だから。するときは、クリフトに見えないようにするね」
「……ありがとうございます……」
「さあさあ、クリフトさん。あまりのんびりしていては、遅くなってしまうわ。」
「……そうですね。皆さんを、お待たせしてはいけませんね」


 気を取り直したクリフトは作業を再開し、少女はクリフトとトルネコの指示の(もと)、食材を刻んだり混ぜたりする手伝いに(いそ)しみ、下処理や調味料の細かい使い方などを見て学ぶ。


「お料理って、こんなにいろんなことをするのね」
「こんな味付けのやり方は、知らなかったわ。サントハイムでは、みなさんこうなさるのかしら。」
「サントハイムではありますが、私の出身地ではなくて、旅先で教えて頂いたのです。美味しかったので、試してみようかと。味を見て頂けますか?」
「ええ。……あら、おいしいわ!」
「ユウさんも、どうぞ」
「うん。……おいしい。クリフトは、お料理が上手なのね」
「ありがとうございます。上手くいって良かったですわ」
「これなら、いつでもお嫁にいけるわね。」

 トルネコの発言に、クリフトが杓子(しゃくし)を取り落として動揺を(あらわ)にする。

「お、お嫁に……!?わ、私は、神に(つか)える身ですから!」
「あら、でも。ご結婚されても、構わないのでしょ?出家(しゅっけ)されたシスターとは、違うとか。」
「そ、それでも!未熟な身ですし、今は、それどころではありませんから!」

 真っ赤になって言い(つの)るクリフトの様子に、トルネコが話を()めに入る。

「まあまあ。そうね、こういうことは、人それぞれですものね。」

 少女が問う。

「結婚ていうのは、男の人と女の人が、恋に落ちたらするのよね。わたしも、したほうがいいの?しなくてもいいの?」
「こ、恋……!」

 クリフトは狼狽(うろた)え、トルネコが答える。

「そうね。もう少し大きくなって、恋に落ちたら。そのときに、考えたらいいのじゃないかしら。」
「恋に落ちるのは、どうやるの?」
「それはね。気付いたら、もう落ちているものなのよ。しようとして、するものではないの。」
「そうなの。どうしたら、わかるの?」
「そのときになったら、わかるわ。」
「……大人に、なったら、わかること?」
「そうね。いつになるかは、本当に人それぞれだけれど。いつかきっと、わかるわ。」
「そうなのね。わからないけど、わかった」
「さて、せっかくのお料理が、冷めないうちに。夕飯にしましょうか。ユウちゃん、みなさんを呼んできてくれる?」
「うん、わかった」

 狼狽え、挙動(きょどう)がおかしくなっていたクリフトが、(われ)に返る。

「舵は、固定しておけばいい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ