反転した世界にて7
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、相当なエネルギーを浪費してしまうことになる。
そのHRが終わる。いつもだったら、ゆっくりと支度を整えて、ある程度帰宅するクラスメイト達の波が引いてきた頃合いを見計らってから、教室から出ていくようにしていたのだけど。
今日ばかりは、僕は帰り支度すらも疎かにして、誰よりも早く教室から飛び出して、屋上へと向かったのだった。
――僕の方が、白上さんを屋上にて待ちわびる羽目となる。なんというあべこべ。
まあ、その甲斐あって、
◇
僕たち、付き合うことになりました。
◇
僕が白上さんからの告白を受け入れたその日を、交際期間一日目と称するとして。
交際期間二日目。即ち翌日には、僕と白上さんの関係は、校内に知れ渡っていた。
「赤沢に恋人が出来たって、マジ?」
「まじ」
「相手があの白上翔子って、正気?」
「正気」
「脅されたんじゃないの? なんか弱み握られたんだろ?」
「違うよ」
噂の真偽を確かめるためか、他に何か目的でもあるのか、それは定かではないけれど。同学年どころか、上級生や下級生までもが野次馬に加わっったりしていたのは、どうなのだろうと思わなくもない。
僕の元にやってきた全員が、一人ずつ僕に声をかけてきたわけではない。流石にそんな時間的な余裕が、朝のHR前という限られたタイミングで発生するはずはないわけで。
「赤沢くん、恋人が出来たって、嘘だよね?」
「嘘じゃないよ」
「そ、そんな。わたし、ずっと赤沢くんのこと……」
「そう」
恰幅がいいと呼称することのできるレベルを悠々と超えた贅肉の塊(性別不明)が、何やらすごい勢いで教室から飛び出していった。そういえば、よく見るとアレって女子の制服だったかもしれない。横に伸ばされすぎてすぐに気がつけなかった。
肉塊が去っても、僕に質問を投げかけてくる人たちの波が引くことはない。延々と続く野次馬根性丸出しな質問の嵐に、僕はほとほと疲れ果てていた。
――はっきり言って、とてもウザかった。コミュ力劣等生にして、人類史上稀にみるレベルのぼっち(流石に言い過ぎか)である僕が、このような思い上がりも甚だしい言葉を、心の中でとはいえ、人様に向けて呟いてしまうとは、自分でもびっくりだ。
しかし、どうかわかってほしい。早くに学校に到着して、自分のクラスに一歩足を踏み入れた途端、彼らの質問攻めは津波のような勢いで僕の元へと駆け寄ってきたのだ。
それから、ずっと同じ質問の繰り返し。初めの方こそ、僕も割と照れて苦笑いを浮かべながら応対していたものだけど。そのうち顔から力が抜けて、どんどん機械的に同じ返答をしていくだけになっていく。
超つらい。僕がぼっちである原因として、持ち前の醜さと暗さに加えて、そもそも対人関係がとんで
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