反転した世界にて7
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しかし、その一週間後には――早くてその日の放課後には、無残に打ちひしがれる翔子の姿を、友人たち全員は全員目撃したいだのだ。
「そ、それはまあ、いいじゃない。若気の至りっていうかさ……。っていう、たく……赤沢さんのお弁当なんて目の前に出されたら、誰だってああなるわよ!」
「今、赤沢くんのことなんて呼ぼうとした?」
「たく?」
「ろー?」
「マジで身の程って言葉を知らないよね、翔子って」
散々である。流石の翔子も、そろそろ自分のメンタルを保つのが難しくなってきた。
「……あんたらに相談しようとした私が間違ってたわ。もういいもん。知らない」
「今度はいじけだしたよ」
「見苦しいよ」
「まあ、ほら。翔子が本気だってことは伝わったわさ。」
「なに、なんか手伝ってほしいとかって、のたまっちゃうわけ?」
手伝ってほしいこと、なんて、特になかった。翔子は拓郎を自ら呼び出すつもりだったし、呼び出した先で、普通に自分の想いをぶつけるだけのつもりだったから。
そこに奇をてらうつもりなんか一切なかったし、自分以外の手を必要とするようなプロセスは、翔子が考えうる限りでは、見つからなかった。
「い、いや。私の決意を聞いてほしかっただけ」
「頑張れー」
「負けるな―」
「ふぁいとー」
「もし成功したら写メちょうだいよ」
如何にも適当な応援だったが、しかし、翔子はそれで十分だった。なんだかんだ言って、こいつらだって自分の不幸を望んでいるわけではないのだ。
こんな容姿に生まれてきて、おまけにエロいことばかり考えているせいで、生涯恋人には恵まれなかったけれど。
でも友達には恵まれていた。
――それだけで、翔子の胸はいっぱいだった――。
〜FIN〜
「なに終わらせようとしてんの!?」
「なにが?」
◇
白上さんが言うには、『放課後、屋上に来てほしい』とのこと。
五限目が終わってからの十分休憩の際に、白上さんは僕にそれだけを伝えて、自分の席に戻っていった。
僕はこの時、この瞬間だけは、『なんだろう?』と、首を傾げつつも、学校が終わっても白上さんのような美少女と会話をする口実が出来た事実に、ちょっとだけ浮かれたりもしていた。
けれど、僕の逞しすぎる妄想は、そこで思考停止してしまうことを許さなかった。
六限目。あとこのコマさえ乗り切ってしまえば、授業という拘束から解放されて、放課後という名の自由を得ることができる、そんな時間。
僕のような微妙に不真面目な生徒は、こんな時間にまで集中力が続くことはあり得ない。授業を真面目に聞いているふりをしながら、僕は白上さんに呼び出
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