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ヴァレンタインから一週間
第20話 有希の任務とは?
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トース》と言われる邪神は、魔術師や魔法使いの神だと言われる存在。その神性は次元移動能力」

 ここまでは問題がない部分。有希も、普段通りの表情を浮かべたままで、微かに首肯いて答えた。
 そして、

「ヨグ=ソトースとは、あらゆる時間と空間のルールを超越した存在。
 現在・過去・未来すべてに隣接し、あらゆる次元と接触していると言う」

 俺の不吉な言葉が続く。その俺の言葉に、何か思い当たる部分が有ったのか、有希の形の良い眉が、ほんの少し動いた。
 但し、俺が彼女に伝えたかったのはこの部分ではない。

「そして、ヨグ=ソトースとは『知識』を象徴する存在。ヤツに接触すれば、森羅万象。あらゆる知識を授けられると言う」

 情報統合思念体の目的。自らの自律進化に必要な新たな知識(情報)を得る事。この目的に、これほど合致したクトゥルフの邪神は存在していないと思います。
 そして、最後の部分。

「通常、ヤツは時空連続体の外側。すべてに隣接するが、何処にも行けない場所に追いやられていると言う。
 しかし、人間としての現身(うつしみ)を得た場合のみ、安全に交渉が出来る相手だとも、伝承では伝えられて居る」

 有希。そして、和田さんから得た情報から類推出来る情報統合思念体の目的を、俺は有希(彼女)に語った。
 確かに、この目の前の少女は、その情報統合思念体が造り出した存在。しかし、彼女を信用しない、と言う選択肢は今の俺には存在しません。

 もしも、これで俺が何らかの詐術に陥れられているのだとすれば、それはそれまでの事。
 俺の方に、人間の本質を見抜く目や、感性が無かったと言う事ですから、そのツケは自分が払えば良いだけです。

「情報生命体で有る統合思念体は、有機生命体とは直接、コミュニケートする能力を持たない。言語を持たないから。そして、人間は言葉を抜きにして概念を伝達する術を持たない」

 ゆっくりと、彼女は其処まで言葉を発した後、少し俺を見つめた。
 そして、

【あなたを除いて】

 ……と、【念話】で伝えて来る。
 これは、彼女が俺に対して気を使ってくれたと言う事。俺の事を人間だと、彼女が言ってくれたと言う事ですから。

 この言葉の瞬間に、俺の表情に浮かんだ笑みを、彼女の瞳は捉えたはず。
 しかし、その行為に対する反応は見せる事はなく、彼女はそのまま言葉を続けた。
 それまでの彼女と変わらない、抑揚のない彼女独特の口調で。

「故に、情報統合思念体はわたしのような人間用のインターフェイスを作成し、人間。涼宮ハルヒやキョンと呼称される存在とのコンタクトを計ろうとした」

 成るほどね。表面上は取り繕う程度の説明には成るな。

「それが、有希が思念体から聞かされた、自らが産み出
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