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ヴァレンタインから一週間
第20話 有希の任務とは?
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んやな?」

 取り敢えず、先ほどの有希の言葉と、昼間に和田さんが語った言葉を総合して、推測出来る情報統合思念体のイメージを有希に問い掛ける。
 但し、あらゆる情報を収集して来た割には、地球の言語の収集に関しては御座成りだったのですね、と問いたいのが本音なのですが。

 おっと。妙に皮肉屋の部分が表面に出て来て居るな。

 俺の問い掛けに、無言で首肯く有希。銀のフレームに反射する室内灯の蒼白い光も、まして彼女の精緻な麗貌も普段通りのまま。
 ただ、その彼女の発して居る雰囲気は、明らかに哀。

「それで、その情報統合思念体は、何故、有希を地球のような惑星に送り込んで来た。その涼宮ハルヒと、キョンの監視任務の為に」

 何故、水晶宮の代表が情報統合思念体を恐れていないのか。その理由の一端を、今の有希とのやり取りで少し掴めたような気がして来たのですが、それは未だ仮説の域を出て居ない内容なので、彼女に更なる問い掛けを行う俺。

「三年前の夏。この地球と呼称される銀河辺境の太陽系第三惑星表面に、他では類を見ない異常な情報フレアを観測した」

 成るほど。それが、一九九九年七月七日の夜に起きたキョンと涼宮ハルヒの邂逅に因る霊的な衝撃と言う事ですか。
 もっとも、我々人類に取っては、ユカタン半島周辺に落ちた巨大な隕石により恐竜を絶滅させるほどの気候変動を起こした災害並みの厄介事なのですが。

 地球上の生命体がすべて奴らに喰い尽くされる可能性も少なく有りませんから。

「その中心に居たのが、涼宮ハルヒで、それを誘発させたのがキョンと呼ばれる存在やった、と言う事なんやな」

 俺の問いに対して、これも首肯く事に因って肯定と為す有希。
 成るほどね。その情報フレアと言う現象が良く判らないけど、巨大な霊気。……と言うか、呪力の渦が発生したと言う事でしょう。

 和田さんが言うには、本来、進むはずの無かった未来に歩み始めているらしいから。これは、世界全体を巻き込んだ異界化。ここまで大がかりな事態は、今から七年前に起きた……。
 …………ん?

「有希。ひとつ質問なんやけど、その情報フレアと言うのは、地球上で過去には起きた事はないのか?」

 何か、重要な部分で情報に齟齬が存在して居る事に気付いた俺が、有希に対してそう問い掛けた。
 いや、其処まで明確な物では有りません。しかし、咽喉に引っ掛かった魚の骨のような感じで、少し気に成るのです。

 俺の問い掛けに、ゆっくりと。しかし、確実に首を縦に振る有希。そして、その時、彼女から発生した雰囲気は、虚偽を示す気配を発生する物では無かった。

 う〜む。確かに、一九九九年当時に起きて居た地脈の龍事件の際の徳島は、事件が起きて居る場所すべてを結界に覆い尽くさせ、結界の内
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