第20話 有希の任務とは?
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る可能性も有りますから。
あのルーンを身体に刻んだままでは、彼女。長門有希と言う名前の少女には、何時までも光の泡と成って消えて仕舞う。そう言う類の不安が付き纏う事と成って仕舞いますから。
少しの空白。外界から隔絶されたこの有希の部屋が今、静かにひとつの境界線を越えた。
古い昨日が過ぎ去り、新しい今日が始まる境界線。
そうして、
「情報統合思念体とは、銀河系から、全宇宙にまで広がる情報系の海から発生した肉体を持たない、超高度な知性を持つ情報生命体」
ようやく、意を決したかのように俺が欲しかった情報を語り始める有希。
そして、その内容は大体、俺の予想通りの内容で有ったのですが。
「それは、最初から情報として生まれ、情報を寄り合せて意識を生み出し、情報を取り込む事によって進化して来た」
訥々と。ゆっくりとした彼女独特の口調で語られるその言葉は、まるで彼女自身の覚悟を示すかのように聞こえる。
但し……。
「ちょっと良いか、有希」
少し気に成った点が出て来たので、一度、彼女の説明にストップを掛ける俺。あまりにも一気に情報を入れ過ぎると、俺の足りない頭では理解するのがやっとで、疑問を浮かべる余裕すら無くなって仕舞いますから。
俺の言葉に、微かに首肯く有希。これは、肯定。
成るほど。それならば、
「進化と進歩の違いは当然、判って説明しているな?」
確認するかのように問い掛ける俺。
尚、俺の知識では、情報体の場合、進化と表現すべき状況は訪れない、……と思います。訪れるとすると、それは進歩と表現すべき状態。
進化とは基本的には遺伝情報の種類の変化や、構成の変化を指す言葉。
そして、進歩とは時間経過に伴い、何かしらの改善や改良が人為的に加えられる事を進歩と呼ぶと思うのですが。
そして、先ほど有希が語った言葉の内容は、俺が思うに進歩の事。
まぁ、確かに、最近は技術の進化と表現する場合も有りますから、一概に間違っているとは言い切れないのですが。
それに、新たに取り入れた情報を、俺たち有機生命体……いや、珪素系生物に遺伝子が存在しないと決まった訳でもないか。生命体の遺伝子と同じ物だと仮定するのなら、情報体の進歩も、生命体の進化と同義語だと取っても問題はないのですが。
「上手く言語化出来ていない。其処に情報伝達の齟齬が発生する可能性も有る」
有希が少し哀しそうにそう答える。
いや、そんなに哀しそうな雰囲気を発せられても、俺としては、その情報の齟齬を発生させない為に問い返しただけなのですが。
「成るほど。つまり、その情報統合思念体と言う存在は、宇宙開闢と共に発生して、様々な情報を取り込みながら進歩を続けて来た存在だと、そう言う事な
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