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ヴァレンタインから一週間
第20話 有希の任務とは?
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て、思念体の側から見た場合は、地球人の理由や倫理観など意味を持たない物のはずです。
 つまり、最悪、我々の世界が滅ぼうとも彼らには関係がない、……と言う事ですから。
 それならば、その情報統合思念体が何故、長門有希と言う名前の人工生命体。和田さんが言うには対有機生命体接触用人型端末と言う存在を送り込んで来たのかを知らなければ、彼女の未来に掛かった暗雲を払い除ける事は非常に難しいと思いましたから。

 ほんの一瞬の空白。

 そう、これは明らかな動揺。そして、少なくない拒絶。本来なら、この手の雰囲気を発する相手には、それ以上の問い掛けを行わないのが俺の流儀。
 理由は簡単。これ以上、俺がその相手の内面に踏み込んで良いとは思えないから。

 ただ……。
 ただ、この事をちゃんと聞いて、俺なりの判断を下して置かなければ……。

 視線が俺と彼女の丁度中心点で絡み合う。何時もと同じように、俺の瞳を真っ直ぐに見つめ返しながらも、視線に普段の力を感じさせない有希。
 彼女独特のペシミズムと言う雰囲気を放ちながらも、芯に何か強い物を持ち合わせていた彼女が、その瞬間だけ、何故か見た目通りのとても儚くて、精緻で壊れやすい存在のように感じられた。

 ゆっくりと二人の間に時間だけが過ぎて行く。
 そして、

「わたしの仕事は涼宮ハルヒとキョンと呼称される存在を観察して、入手した情報を統合思念体に報告する事」

 訥々と語り始める有希。メガネ越しのその瞳が放つ色は不安。更に躊躇い。少なくとも、普段の揺るぎない彼女が発して居る雰囲気ではない。

「わたしが、統合思念体の命令により何を為し、何を為さなかったのか、あなたには知られたくはない」

 何か、蟠りが有るのは確実な事が判る言葉を発した後、俺を見つめる有希。
 ただ、本来ならば、その部分も知った上でなければ、正しい判断を下す事が出来ない可能性も有るのですが……。

 もっとも、長門有希と言う名前の人工生命体の少女が自らの造物主に対して、蟠りを抱けるような性能を持った人工生命体だったと言う事で良としましょうか。
 何故ならば、異世界の存在で有る情報統合思念体に、地球世界のロボット三原則などが順守される謂れなどないはずですから……。

 但し、彼女に元々心が存在して居なかった可能性は否定出来ず、俺と式神契約を果たした瞬間に、心が芽生えた可能性もゼロではないのですが。

 何故ならば、伝承に語られる水の精霊には心が存在せず、唯一、人間の男性から愛を与えられた場合にのみ、心が誕生する。いや、相手の男性から愛と言う形の心が与えられると言われて居ますから。
 そして、彼女に刻まれたルーンは、水の精霊の娘を指し示す人魚姫と言う意味のルーン。

 そうして、今、俺が彼女に示し
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