第八十話 さあ、どっちが勝つんだ?
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遅れをとったことがきっかけで、鬼のような訓練を積んできている。
その経験が今のミラニを形作っている。
ベニも並みの剣士ではないが、ミラニはその上をいっているみたいだ。
何度かの攻防でそれを把握したベニは自然と口角(こうかく)を上げる。
「さすがだ……さすがはグレイハーツ魔法騎士団団長……『花柄の魔女』だな」
すると顔を真っ赤にしたミラニが叫ぶように言う。
「だからその名を呼ぶなっ!!!」
ミラニは素早く間を詰める。
だがベニもそれを予測していたかのように対応する。
剣同士が衝突する。
互いに歯を食いしばり目の前の相手を睨む。
そして、互いに吹き飛ぶような形で距離を取る。
両者ともに肩を上下させる。
実力では上のはずだが、ミラニはこれまで相手にしてきた対戦者の分だけ疲弊(ひへい)している。
魔力の量では似たり寄ったりと言ったところだろう。
互いに魔法を使わないのは、魔力の消費を抑えているからだ。
下手に魔法を使うと、隙を生じてしまう危険があるという理由もある。
ベニはジグザグに走り、それをミラニは目で追う。
交差する瞬間、また剣を合わせる。
常人の目では一回の斬り合いに見えるが、実際は互いに三度は攻撃を行っている。
ベニの肩から出血が見られる。
ミラニの頬に一筋の赤い線が走る。
互いに攻撃がヒットしたようだ。
(素晴らしい剣の使い手だな)
(さすがは魔女だ……)
両者はともに相手の実力を認めていた。
だが、このままではジリ貧(ひん)になる。
残りの魔力も気になる。
互いに視線を合わす。
どうやら考えていることは同じ。
両者は視線を逸らさず剣を構える。
そして、互いに魔力を剣に纏(まと)っていく。
互いに剣を強化していく。
次の一撃で決める。
それが視線を交わし、決めた決着方法だ。
全ての魔力を剣へ。
「いざ!」
「尋常に!」
ミラニとベニが声を張り上げる。
「「勝負っ!!!」」
両者が地面を蹴る。
ベニは頭上から剣を振り下ろす。
ミラニは居合抜きのように構え、下から上へ斬り上げる。
キィィィィィィンッッッ!!!
一瞬の静寂…………周囲が息を飲む。
今は互いに交差して、背中を向き合わせる形になっている。
両者はピクリとも動かない。
そして、上空から何かが落ちてくる。
グサッ!
それが地面に突き刺さる。
それは、剣の破片だった。
どうやらどちらかの剣が折れてしまったようだ。
「…………私の負けだな」
そう呟いたのはベニだっ
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