第八十話 さあ、どっちが勝つんだ?
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姿は、何故か哀れに感じる。
観客も戸惑いながら首を傾げている。
「トーゴ様……ミラニはどうしてあそこまで二つ名を嫌うのでしょうか?」
クィルがミラニの普段とは違う態度に不思議に思う。
「さあな、そもそも二つ名ってのは他人が付けるもんなんだろ?」
「そのようなのです」
「だったら、その二つ名には必ずミラニに何か特徴的なものを感じたから付けたんだろうし……」
闘悟はしばらくミラニの二つ名に関して考えてみるが、残念ながら分からない。
『魔女』に関してはおおよそ見当がつく。
恐らくその強さから名付けられたに違いない。
だが『花柄』というのが分からない。
何か花柄の服でも着ていたのか……いや、あのミラニが花柄の服など着るとは思えなかった。
これまで女性らしい私服を見たことが無い。
彼女に関して可愛いと感じた状況になった記憶が無いのだ。
見た目はスタイルのいい美少女なのだが、彼女は城にいる時も、常に鎧を着けているか、男らしい正装をしているので、『花柄』の印象がかけ離れているように感じるのだ。
だが、闘悟の疑問と同じように辿り着くモアは声を上げる。
「『花柄』……というのが気になりますね? 一体何がきっかけで付けられたものなのでしょうか?」
「だぁぁぁぁっ! もういいだろっ! 私の二つ名よりも、今は彼女のことを聞きたいのだっ!」
何とか話題を自分からベニに変えようと必死になっている。
ミラニの必死さに、ベニも思わず一歩後ずさる。
何故だか分からないが、ミラニからとてつもない威圧感が迸(ほとばし)ってくる。
「さ、さあ! お、お、教えてもらおうかベニ! き、貴様の二つ名を! あ、あるのだろう?」
「え、あ……」
目が完全にすわっている。
これ以上ミラニの二つ名に関しての話題は危険だと感じたのか、ベニもモアも、観客もそれ以上は聞けなかった。
「わ、私は……私にはまだ無いんだ」
「そ、そうなのか……? ……う、羨ましい……」
ミラニは心の底からそう思った。
どうやらそれほどまで自分の二つ名は気に入らないようだ。
「だ、だが、その強さなら普通はあるのだがな」
ミラニは疑問に思った。
もしかしたら、自分のように納得いっていない二つ名なので、口にしないのではないかと思った。
「私はギルドに登録してまだ間が無い」
ミラニはその言葉を聞いて少し納得した。
強さで言えば規格外のあの闘悟でさえ二つ名は付けられていない。
それは登録してまだ期間が短いからだ。
それなりの実績が必要になる二つ名は、やはりそれ相当の時間も要する。
だから本当にベニが初心者登録者なら、
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