第七十九話 おお、手に汗握る闘いだな
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飛んでいく。
(……ふぅ、さすがに疲れるな)
ミラニは額から汗を流す。
ここまで息をも尽かさず連続攻防だった。
その上、常に周囲に気を配らなければならない緊張感は、容易に体力を削っていった。
(よくもまあ、ヤーヴァスはこれを平然とやってのけたものだ)
仕事仲間だったヤーヴァスと同じ状況に陥っている自分と彼と比べると、やはり自分が見劣りしてしまい自嘲気味(じちょうぎみ)になる。
だが、ミラニは気づいてはいないが、今までミラニが相手にしてきたのは、ほとんどがBランクのギルド登録者や貴族である。
それらを相手に、未だ無傷で経っているのだから他の者にとっては脅威の何ものでもない。
砂埃はもう完全に晴れている。
その中からは、ミラニに倒されたであろう者達が地面に臥(ふ)せている。
(あと……十人か)
目だけを動かして素早く周囲を観察する。
その時、目の前にいた三人が一気に腰を折る。
その光景にミラニは眉間にしわを寄せる。
その三人の背後には自分と同じように鎧をつけた女がいた。
(十一人いたのか)
三人の陰になり、数え間違いをしていたようだ。
だが、その女に倒されたせいで、今立っているのは八人になった。
女と視線が合う。
髪は手入れしていないのかボサボサの茶髪をしているが、切れ長の瞳が特徴の、ミラニと同年齢ぐらいの女性だった。
スタイルもミラニに負けておらず豊かな胸を有していることが、鎧の上からでも分かる。
「あと六人……」
「ん?」
いきなり声を発してきたので怪訝(けげん)な表情をする。
「邪魔な六人をまずは排除するぞ」
ミラニはその言葉の意味を正確に把握する。
つまり、自分と一対一で闘えと言っているのだ。
そのためには自分達以外の六人が邪魔なのだ。
すると女は近くにいた参加者のもとへ向かうと、一瞬にしてねじ伏せる。
(は、速い!?)
動きに無駄が無く、それでいて的確に相手の意識を奪った。
生半可な実力者ではない。
ミラニは一瞬意識を奪われていたことを後悔した。
背後から迫ってくる相手に気づくのが少し遅れる。
「くっ!?」
ミラニは大きく飛び避けようとしたが、少し遅かったようで相手の剣が腕に掠(かす)る。
大した怪我では無かったので、そのまま勢いつけて詰め寄り『風の弾丸(ウインドブリッド)』を放つ。
吹き飛んだ方向には他の参加者がいたので、またも彼らはそれに巻き込まれる。
だが、まだ意識を奪うには値していないので、すかさず間を詰め腹に一撃を与えて三人の意識を飛ばす。
(これであと三人……いや、一人
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