第八話「血の晩餐」
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吸血鬼というのだったか?それにしても、人間の脳みそも美女の生き血もあまりほしがらないようだし、それに、なんだかさっきから話してるとまるでタチカゼどのは人間のような振る舞い方。天馬にのってきたからにはなにか、我らが眷属にとって福音となるべきものかと思ったが、これはあてが違ったようだな!」
「はい、伯爵様。わたしめ、一同今確信しました。このものは人間です。そうなればどうでしょう?今夜の宴の主菜に生きた健康そうな若者の血肉も盛り付けましょうか?」
「おお、いいだろう、ふふ、さあお前たち、この人間を厨房へ連れてくのだ」
ずらりとならんだメイドたちは、タチカゼを眺めると舌なめずりをして飛びかかってきた。
「うわああ!こいつら、全員が吸血鬼?」
「ん?しらないのかね?タチカゼ殿、わたし達に生き血を吸われた者もわたし達と同じヴァンパイアになるのさ、さあタチカゼ殿もわたし達の仲間に加えてあげよう」
タチカゼは今すべてがわかった。
町の人々は、自分に助けを求めていたのだ。想像できるかぎりでは、この伯爵、町を己が力で乗っ取っていると見える。
さすれば、こういうとき、士道に生きし、我に何事ができるか?
答えは一つ。
タチカゼは、身を半身に構え、突然、どんと足を踏み込んだ。同時に飛び上がるような奇声を上げた。
メイドたちは、よくわからないがいすくんだ。
「おお?タチカゼどの?まさか吸血鬼相手張り合うつもりかね?知っておるか?吸血鬼は人間の何倍も強靭なことを、頼みの刀もない状況でどうするんだね?さっさと私に生き血をくれないかね」
「否!私の国では、そこに正義を行う余地があるのに見て見ぬふりはせぬのだ。あの町の人々は俺に助けを求めていた!それを無下にはできん!」
「くくく、なんだ。そこまで気づいてしまったか。はっ、吐き気がするわ、人間風情が我らにたてつくとは、死ね!死んで償ってもらう!」
「もとより、戦いにおいて死などは覚悟のうちよ!」
メイドたちはいっせいに襲い掛かってきた。
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