第二十七話 教会の赤マントその十三
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「そういうことは」
「ううん、チロを叱る時頭を叩いたりするから」
「それで終わりでしょ、それ位だと暴力じゃないわよ」
「だったらいいけれど」
「そう、体罰と暴力はまた違うから」
聖花もまたこう言うのだった。
「逆に言えば私も暴力は振るわない様にしないと」
「聖花ちゃんもだと思うけれどね」
「だったらいいけれど」
二人でもこうした話をした、そしてだった。
三人で教会の前に来た、その樫の木の扉の前に来てだった。
まずは聖花が警戒する顔で愛実に言った。
「多分だけれど」
「扉を開けたら」
「出て来るわよね、その人」
「赤マントさんね」
「これまでのパターンだと」
妖怪が出て来るパターンを考えるとだった。
「扉を開けたら」
「横からいきなりね」
「正面に立っていたりとか」
そうしてだというのだ。
「それが普通だからね」
「じゃあ気を確かにして」
そしてだった、二人は顔を見合わせて気構えをしてだった。
教会の扉を開けた、すると扉の左手から。
黒いタキシードに同じ色のシルクハットの細い長身の男が出て来た、顔はやけに白く目は糸の様で吊り上がっている。
黒マントを羽織っておりその裏地は赤だ、その怪人が二人の前に来て嗤う。
「はははははははははははは!!」
「貴方が赤マントさんですね」
「そうなんですね」
「驚かないか」
「はい、予想していましたし」
「こうして出て来るって」
「むう、それは困った」
その妖怪赤マントは二人の話に拍子抜けした、そうして二人の前で立ち止まってそのうえでだった。
二人の後ろにいる日下部を見てこう言ったのだった。
「日下部さんも来ているか」
「久しいな」
「こんばんは」
日下部は海軍の敬礼をし赤マントはシルクハットを脱いで恭しく一礼した。
「お元気そうで何よりで」
「貴殿もな」
「あれっ、礼儀正しいね」
「そうね」
二人は赤マントの礼を見て言った。
「外見通りっていうか」
「タキシードに赤マントでね」
「確かに私は人を驚かせることは好きだが」
赤マントは話をする二人にも話す。
「しかし礼節は守っているつもりだ」
「だからですか」
「日下部さんにも」
「君達にもだ、それでここに来た理由だが」
「はい、ここにも泉の候補地があるって聞いたんで」
「それで来ました」
それでだというのだ。
「そうなんですけれど」
「お邪魔します」
「ようこそ、教会に」
赤マントは二人にも恭しく一礼する、見ればシルクハットを脱いだその髪は黒のオールバックである、闇の中で整髪料が光る。
「私がこの教会の宿借り人赤マントだ」
「宿借りって」
「主じゃないんですね」
「主は神父様だ」
この教会のだというのだ。
「私では
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