13話:平穏は波乱の幕開け
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にいた。何を言えばいいのか、何をすればいいのか。頭の中がグチャグチャで思考がまとまらない、身体が動かせない。ステラが何か言っているが、それさえも聞こえず、反応できない。
「ここは………………あ、ダレン?」
「あ、あ、うえ」
「ダレン……だよね?」
「あ、うん。久しぶり。元気にしてた?」
我ながら、馬鹿なことを言った、そう思うことさえできなかった。彼の今の頭では、これが精一杯だった。
「あれ……生き……てる……? わたし、生きてる!!」
瞬間、マリがダレンに抱き、そして泣いた。まるで、あの日から今までの泣けなかった分を消費するように。
「よかった、本当によかった。ダレン……心配した……」
そこで、やっと本来の頭の回転を取り戻したダレンはやはり、おかしなこのを言ってしまう。
「えと、おはよう?」
「おはようじゃ……ないよ……」
「確かに、朝じゃないよね」
「ステラ、意味が違う」
「う……ぐすっ……ひく」
(どーしたもんかなぁ……)
マリが泣き終わるまでに、十五分はかかった。その時間はダレンにとっては永遠のように長く、しかし一瞬の出来事にも思えた。
「落ち着いたか? マリ」
「うん、なんとか」
「うわ、肩のところ濡れてぐちゃちゃだ……」
「すんっ……ごめんね」
一時の落ち着き、だがダレンには確認しなければならないことがあった。彼の罪に関することを。
「本当にマリなんだよな」
「うん、わたしだよ」
「でもあのとき俺はっ……」
ダレンのこの世界での最初の罪。忘れることのできない忌むべき記憶。いや、ダレンは自分で忘れない。忘れることをよしとしない。そのことは、何をしていてもダレンの後ろに付いてまわる。
「大丈夫だよ、ダレン」
マリは優しくダレンの両手を包み込んだ。
「確かにあの時は痛かったし、苦しかったし、悲しかった」
でもね、と一呼吸。
「うまくは言えないけど、ダレンだって、痛かったし、苦しかったし、悲しかったはずたよね。おあいこだよ。だから、気にする必要なんてない。それに、今こうしていられるのことがわたしは嬉しい。お母さんとお父さんを殺した人は許せないけど、でもダレンまでいなくなるともっと悲しいよ」
そして、きゅっとマリはダレンを抱き締めた。
「あの、すごい言いにくいんだけどさ」
見ている光景に耐えられなかったのか、今まで完全に蚊帳の外となっていたステラがおずおずと切り出した。
「マリ……お姉ちゃん、だっけ。その……服着ないの?」
「「……あ」」
「二人とも忘れてたんだ」
そもそもマリは自分が服を着ていないことすら気がついてい
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