第七十八話 これは目が離せねえ展開だな
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くはこの状況が続くと思われますね」
「ええ、誰かが動いたら、それが引き金になって一気に場が動きます」
「場がどう動くのでしょうか?」
「もちろん、先に動いた者は注目を浴びることになるでしょう。下手をすれば全員からターゲットにされる恐れさえあります」
「ふむふむ。ということは迂闊(うかつ)には動けませんね」
「ええ、実力者であればあるほど、場を見る力が養われています。この場で動くことの重要さは、彼らなら判断できるでしょう」
闘悟はそんな二人のやり取りを聞いていて正しいと思っていた。
いきなりこんな状況になったのは少し意外だったが、彼女らの言う通り、皆が力を溜めている状態だ。
何かのきっかけでそれが一気に解放される可能性は十分に高い。
それに、先に動く危険性も含んでいるのだ。
ミラニが先に動けば、まず間違いなく標的にされる。
気をつけろよミラニ……有名人はその的になりやすいからな。
闘悟の懸念(けねん)はそれに尽きる。
まず最初に強者であるミラニを倒せば、対戦が楽になる。
全員が一丸となれば、ミラニでも厳しいだろう。
だが、見た所チームを組んでいそうな者は見当たらない。
それが唯一の救いになるかもしれない。
統率されたチーム戦略は、容易に単騎(たんき)を捻(ひね)り潰す強さを持っている。
今回は恐らく皆がソロなので、そんな戦略は無い。
だがそれでも、有名人にとって危険な立場なのは違いない。
場が動き、時間が経てば必ず強者が集中して警戒される。
ミラニは背中にうっすらと汗を掻いていた。
気温自体はそれほど高くは無いが、三十人が互いの隙を睨んでいる最中は、かなりの熱気を生んでいる。
この均衡(きんこう)状態は、異様な空気の中にいるせいか精神力が削られる。
これに耐えきれず、誰が先に行動を起こすか。
ミラニは周囲に視線を送る。
そこでふと思い浮かんだ顔があった。
それは闘悟の顔だ。
あの男だったら、こんな状況の時どうするだろうか……?
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