第七十七話 頑張れよミラニ
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甘い大会ではなかった。
「そっかぁ、それは残念だったな」
「は、はいです。で、ですが精一杯頑張っておられましたです! それこそ何か鬼気迫(ききせま)るような表情で!」
クィルの鬼気迫るという言葉が気になった。
闘っているのだから真剣になるのは分かる。
ただクィルがそういうふうに表現するということは、彼女は何が何でも勝ちたいと思っているということだ。
単に優勝したいと思っているだけかもしれない。
それでも闘悟には、何かが引っかかっている。
「そんなに必死だったのか?」
「あ、はいです。見たこともないような顔つきでしたです。その……少し怖いと感じてしまいましたです」
闘悟は第一回戦を振り返る。
あの時見たメイムの表情。
それは今まで接してきた彼女からは考えられないほど鬼気感を感じた。
一体メイムは何を思って闘ったのか……。
闘悟が急に黙ったので、気になったクィルが恐る恐る声を掛ける。
「あ、あのトーゴ様? どうかされましたか?」
「ん? いや、メイムは怪我とか大丈夫かなと思ってな」
「あ、それは大丈夫なのです。大会では優秀な治癒魔法を使える方が控えていますから」
確かにこんな危険な大会なのだから、アフターケアがしっかりしていなければ重症者が多数出てしまい、大会自体がなくなる可能性がある。
だが、医療関係が充実しているならその心配が限りなく低くなる。
「そっか、それなら安心だ」
「はいです!」
クィルは闘悟の言葉を受けて微笑んだ。
悪いなクィル。
今この場ではメイムのことは話せない。
話しても余計心配させるだけだし、闘悟自身詳しいことを何も知らない。
今は静かに事を見守った方が得策だと感じたので口を閉じることにしたのだ。
とにかく今はメイムのことは置いておいて、明日のことを考えることにした。
そして、夜は更けていき朝を迎える。
今日はいよいよ闘悟の対戦日だった。
ただ闘悟は本日一番最後の出番なので、それまでは宮殿で大人しくしていようと思った。
だが、クィル達に無理矢理闘武場まで引っ張って来られた。
せっかくミラニが第一回戦で闘うのだから、見てあげてほしいとのことだ。
そう言われて断る理由が思いつかなかったので、闘悟は流されるまま闘武場までやって来たのだ。
ミラニとも一緒に来たのだが、やはりいつもと違い、少しピリピリした雰囲気を纏(まと)っていた。
彼女も大会参加は初めてらしいが、王国の魔法騎士団団長として恥じない闘いを志さなければならないと感じているに違いない。
闘悟に言わせれば、そんなものに縛られず自分の思う通り自由にやればいいと思うが、ミラニはミラニなの
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