第七十七話 頑張れよミラニ
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
その夜、大会の一日目が終わり、帰って来たクィル達(主にハロとステリア)にどうして帰ったのか詰め寄られたが、事情を話すと何とか分かってもらえた。
ハロはいきなり自分を置いて帰ったことに怒りを露(あら)わにしていたが、今度欲しいものを買ってあげる約束をしたらすんなり許してもらえた。
大会は一回戦から二十回戦まで大いに盛り上がり、今までにないくらいの大盛況ぶりにギルバニアは喜んでいたらしい。
内容については、詳しいことは聞かなかった。
その方が楽しみだからだ。
どんな相手が勝ち進んだのか、実際に会って闘う方が面白そうだ。
だが、ほとんどの対戦はやはり前評判が高いものが勝ち進んだらしい。
中には番狂わせ的な展開もあったようだが、それも予想していたことだとクィル達の話を聞いて闘悟は納得していた。
今日の内容の中で、闘悟が少し興味惹かれたのは、勝ち進んだ者のほとんどが平民だったことだ。
バトルロイヤルで、貴族達は、平民から集中攻撃にあったのだろうと闘悟は予想していた。
そんな結果になるということも、闘悟は最初から予測していた。
確かに一個人で闘えば、貴族に劣る者達も、そうやって徒党(ととう)を組めば勝ちを手にできる。
貴族は互いにプライドが高いから、チームを組むという考えすら邪道と捉える者が多い。
今回の結果で、数の力がどれだけ強いか知ったかもしれない。
もともと今回は平民の参加者の方が多いので、貴族達にしてみれば、辛い闘いになるかもしれないが、それは今まで平民が感じてきたことそのものだ。
そうして平民の気持ちが少しは理解できた者が、中にはいるかもしれない。
もしかして、そんなことを考えてギルバニアは今回のようなバトル形式にしたのかもしれない。
さすがは大国を束ねし国王だけはあると、闘悟は見直すことになった。
明日はいよいよ闘悟の番だ。
残念ながら出番はドンケツだが、いろいろ楽しみがある。
今日出会ったフービという男のこともあるが、自分の力をいろいろ試せると思うと楽しみで仕方無かった。
そこでふと思ったことがある。
ミラニとカイバも自分と同じ明日が対戦日だ。
気になったのはメイムのことだ。
彼女は今日戦ったのだろうか?
それとも明日なのか?
それだけが気になったのでクィルに聞いてみることにした。
「メイムさんですか? 彼女でしたら確か第十回戦で見ました。その……残念ながら負けてしまいましたが……」
クィルが残念そうに顔を伏せる。
やはり同じルームで学ぶ者同士、勝ってほしかったのだろう。
だが、メイムはまだギルドランクDだ。
実力ともに、まだ勝ち残れるほど成熟してはいないだろう。
そんな彼女が勝ち残れるほど
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ