半妖教師と人形遣い
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、気づいた時には取り返しがつかなくなることがある。何事もな」
「教師の一言ってやつかしら。肝に銘じておくわ。隠れんぼの方はどう?」
「あと一人だな」
あれから三時間ほどで見つけたのは4と5の人形だ。一人はアリスの寝室のベッドのふとんと毛布の間で昼寝、もう一人は二階のクローゼットから引っ張り出した服を床に撒き散らしその下に隠れていた。
「そう。いいの? もう余り時間はないわよ」
既に日は暮れ始めている。日没まであと30ほどといったところだろう。
だが既に慧音は探せるところは一通り探し終わっている。闇雲にしても意味はないと思い、一旦初心にでも戻ろうとここに来たのだ。
「センセーイチバンガイマセン」
「ウルサイダマレー」
「ダンタイコウドウヲミダスナー」
「グウスウキスウデコウゴニナラベー」
「その子達も楽しそうね」
「私が受け持っている人間の子供に似てるよ。好き放題で手がかかるところもな」
四体の人形は慧音の両肩、頭、それと胸元にいる。四体目が見つかった際、乗る場所がなかったのと本人が希望したことでそこになったのだ。その為現在慧音の服はボタンが緩められ胸元が少し空き、ふくよかで柔らかい慧音の胸にはさまれた人形が一体顔を覗かせている。時たま何がしたいのか、パンパンと慧音の胸を叩いて満足気な顔だ。
「この人形達はアリスの手を離れて動いているんだよな?」
「……正確にはちょっと違うわね。動力は私の魔力で、行動も魔術式で定義されたものよ。確かに私の意思でなく彼女たち自身で判断して動くわ。けれど、その行動理念は私が組み込んだ式に準じている。そう言った意味では、私が動かしているとも言えるわ」
「ふむ、何となくは分かった。これだけ自由に見えても、完全な自立ではないということか」
「ええ。まだ未完成もいいところよ」
どうぞ、とアリスに注がれたお茶を慧音は飲む。砂糖を少し多めに入れて一口。甘さが脳に染み渡っているくのを感じる。人形達は出されたクッキーを持ちそれを興味深そうに見ている。時たま、慧音の口に向かってねじ込もうとするので、大人しく食べる。これだけ自由に見えても未完成だというのだ。慧音にとっては理解が及ぶ世界ではない。
「これは本当にまだ未完成。完全な自律人形なんてまだ夢の話よ。意思を持った人形……妖怪としてなら付喪神などがあるけれど、私はそれを作りたい。つまるところそれは、命を作るということ。そう簡単でないわ。トライアンドエラー。何度も試し、研究し、一歩々々進まなければいけないの」
「……何故、作る。何故、そこまで求めるんだアリス。現状でも十分のように私には思えるが」
アリスの口から出た言葉はやけに力が入っていた。それが慧音は気になった。
アリスの人形は今の状
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