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東方小噺
半妖教師と人形遣い
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じみたところがあるんだな。可愛いぞ」
「バカにされてるのかしらそれは……まあ一応礼は言っておくわ。最も、隠れるのは私じゃない」

 その言葉に合わせるようにどこからともなく人形が現れる。アリスの背後に五体、髪の縛られた小さな人形が整列して宙に浮いている。ほかの人形と違い左から1〜5の番号の小さなワッペンを胸元につけている。

「シャンハーイ」
「ホラーイ」
「ホントハソンナコト」
「ゲンサクジャイッテネー」
「ソモソモシャベッテナイヨー」
「? 何を言ってるのあなたたち?」

 訳のわからない言葉を言う人形にアリスは首を傾げる。
 人形達は互いに手を取り合いルンタッタルンタッタとよく分からに踊りを踊りだす。自由なものである。

「この子達がこれから隠れるわ。それを日没までに見つけられたらあなたの勝ち。人形作りの講師に行ってあげるわ」
「なるほど。聞きづらいが、負けた時の条件は無くていいのか? こっちが一方的に頼んでいるだけなのに」
「別にいいわよ。強いて言うならこの隠れんぼがその報酬。組み込んだ魔法式に寄る人工知能。それがどの程度の性能かのテストをさせて貰うわ」
「そういうことなら了解した。だがまあ、引き受けてもらった場合はまた別に何か渡さてもらう」
「お好きにどうぞ。ありがたく貰うわ。――では、散開」

 アリスが指を鳴らすのを合図に、人形達は思い思いの方向に飛んでいく。

「隠れていい範囲はこの家だけ。森を入れると途方もないからね。隠れている子を探して「見つけた」って言ったらその子は終わり。このお茶を飲み終わったらスタートとしましょう」
「これでも探し物は得意でな。逃げた教え子を見つけるので鍛えられている。すぐに見つけさせてもらうぞ」
「ご自由に。あの子達は手ごわいわよ。それと、探す上で邪魔になるものがあればある程度は自由に片付けて貰って構わないわ。ただ、壊さしたり汚したりはしないでね」
「それくらいは弁えてるさ」
「それくらいを弁えてないのもいるのよ。態とではないけどね」

 互いにカップを傾け、暫し無言の時間が流れる。決して心詰まるものでなく、機械的な時計の音しか聞こえない落ち着いた安らぎの時間だ。時たま、クッキーをかじるサクサクとした音が聞こえる。

「あ、そうそう。さっきからずっとクッキー食べてるけど、そんなに食べると太るわよ」
「ふぁ?!」











「はあ、ここにもいないか」

 どかした荷物を整頓しつつ、慧音はつぶやく。
 隠れんぼが開始してから既に一時間ほど。まだ一体も見つけられていない。人間の子供と違い人形は小さい。ほんの小さな隙間に入ることも出来る。隠れる場所の選択肢が飛躍的に多いのだ。
 アリスの家は二階建てだ。一階には
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