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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十七話 情報部の憂鬱
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しょう」
リンツ、ブルームハルトが不安を口にすると皆が頷いた。それぞれに不安そうな表情をしている。そんな彼らを見て提督がクスッと笑い声をたてた。

「心外ですね、それほど私は危険ですか」
ヴァレンシュタイン提督の言葉に皆が唖然とした視線を向けた。提督は面白そうに彼らを見ている。

「危険ですな、全宇宙で一番危険でしょう」
「酷い話だ、せめて二番目くらいにしてくれませんか」
俺と提督の掛け合いにミハマ中佐がクスクス笑い出した。リンツ達は顔を見合わせ呆れたように苦笑している。先程まで有った不安は消えていた。

笑いが収まると提督が口を開いた。
「ベリョースカ号はフェザーンにある同盟の弁務官府の依頼で私達をフェザーンに運ぶ事になります。入国に関しては最大限の便宜を図ってもらえるでしょう」
「……」

「それに帝国が混乱している今、同盟を怒らせることが危険な事はフェザーンも理解しているはず、入国拒否は有るかもしれませんが捕えられるという事は先ず無いでしょうね」
「なるほど」
リンツが声に出すと何人かが頷いた。

「しかし楽しみですね、提督と一緒にフェザーンに行くのは。一体何が起きるのか……」
「ピクニックに行くんじゃないんだぞ、ブルームハルト」
「分かっていますよ、准将」
俺とブルームハルトの遣り取りにリンツが“本当か”とチャチャを入れた。頭を掻くブルームハルトに皆が笑い声を上げる。

「多分一生の想い出になりますよ、忘れる事は無いでしょうね」
提督の言葉に皆が顔を見合わせた。そんな俺達にヴァレンシュタイン提督が柔らかく微笑む。

「私の予想通りに進むのならこの宇宙は全てが変わり、何も変わらないはずです。そして宇宙には呪いが満ち溢れ、人類は恐怖と怒りに震える事になる。一生の想い出になるでしょう」
怖い美人の笑顔だ。背中がぞくぞくする。だが、楽しくなりそうだ……。

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