第四章
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「いい?」
「いいって?」
「誰かにこのお話聞いてみない?」
こう私に話を切り出したのだ。
「生きるってどういうことかね」
「そのことをなの」
「そう、このことをね」
聞いてみようというのだ、二人で誰かに。
「そうしてみない?」
「そうね、それじゃあ」
「そう、私達じゃ今こうして考えても答えは出ないから」
だからだった、今回は。
「誰かに聞いてみない?」
「お坊さんとか?」
宗教のお話だと思った、それで私はこの立場の人はどうかと話した。
「そうした人に?」
「ええ、どうかしらそれで」
「そうね」
彼女は私の話を聞いて考える顔になった、それでだった。
そのうえでだ、こう言って来た。
「それだとね」
「それでいいわよね」
「お坊さんね。じゃあね」
「一緒に行こう」
こう二人で話してそうしてだった。
私達は学校の近くにあるお寺に行った、そこで住職さんにお話を聞くことにした。
住職さんはかなりのお歳でとても優しい感じの人だった、顔立ちは穏やかで雰囲気はかなりいい。
その人に茶室に案内してもらって話をした、するとだった。
住職さんは温和な笑顔で私達にお茶を飲みながらこう言ってくれた。
「悲しいってことを感じるじゃないよ」
「違うんですか?」
「それが生きるってことじゃないんですか」
「また違うものだよ」
こう私達に話してくれる、自分達の前に座っている私達に。
「生きるってことはね」
「じゃあどういうことなんですか?」
私が住職さんに尋ねた、前に置いて貰っているお茶には手を付けていない。
「生きるってことは」
「死んだ人、死んでない人もだけれど」
つまりあらゆる人をだというのだ。
「想うことだよ」
「人をですか」
「人は確かに皆死ぬよ」
その通りだとだ、私に答えて私達に話してくれる。
「このことはどうしても避けられないよ」
「そうですよね、そのことは」
「わしも君達もな」
こうした意味でも皆そうだった、絶対のことだった。
「死ぬよ、けれどね」
「それでもですか」
「そう、人は死んでも他の人の心に残るよ」
お祖父ちゃんも私の隣にいるこの娘の親戚のお姉さんにしてもだった、私は彼女の方をちらりと見て思った、今の言葉を聞いて。
「そしてそのことがね」
「生きるってことですか?」
「そう、それがね」
そこれそがだと私達に話してくれた。
「生きるってことなんだよ」
「あの、それじゃあ」
「そうよね」
私達はここで顔を見合わせた、そのうえで二人で話をした。
「死んでからよね、人って」
「そうなるわよね」
「生きるってことって」
「死ぬことだって」
「生死は隣り合わせで。魂は不滅だけれど」
仏教の考えであることはわ
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