暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第21話 そうだ、王都へ行こう
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。しかしそんな案を、手軽に与えてしまって良いのでしょうか? と言う想いが、私の中に出て来ました。

「考えてみます」

 結局私はお茶を濁す事で、その場を逃げる事にしました。それから暫くして、父上と一緒に部屋へ戻りました。

 思い返せば、私は何人の人間の人生を変えたのでしょうか? 私と言う存在は、この世界に影響を与える一因子として存在が許されています。しかし私が与える影響は、良い物だけとは限らない事に今更気付きました。

(人間って見たくないものは、見ないでいようとする……か。真理ですね。私も例外ではない。と言う事ですか)

 私はこの晩、なかなか寝付く事が出来ませんでした。この時私の頭から、カトレアの顔がなかなか離れてくれませんでした。



 一晩悩んだ結果、私が出した答えは開き直るでした。私の存在を考えれば、本当に今更です。与える影響が、良い方に向くよう最低限心がける。それが私と言う存在に許された、最低限のマナーと考える事にしました。

 今回の魅惑の妖精亭では、自力で這い上がっている2人の安易な助けにならず、試験の形を取ろうと思います。そこで父上に相談し、炭と木炭コンロの譲渡は条件付きとしました。条件は私達がドリュアス領に帰るまでに、私達を満足させる料理を作る事としました。

 スカロンさんとジェシカには、炭と木炭コンロの話と私達の正体について話す事にしました。早速2人と話す為に、1階に降ります。

 1階で厨房をのぞくと、スカロンさんとジェシカが仕込みをしていました。私は2人に声をかけ、テーブルについてもらいます。

「先ずは名乗りましょう。……父上」

 私が促すと、父上が頷き名乗りました。

「私の名は、アズロック・ユーシス・ド・ドリュアス子爵だ。王都の人間には、《岩雨》のアズロックの方が通りが良いかな?」

「ドリュアスって、タルブ領主の。それに《岩雨》って……」

 スカロン店長の表情が、驚愕に染まりました。一方ジェシカは、キョトンとしていました。

「そして私が息子の、ギルバート・A・ド・ドリュアスです」

 私が続けて名乗りましたが、反応は殆どなしでした。(ちょっと悲しい)しかしここで、めげる訳には行きません。

「実はドリュアス家では、マギ商会と言う商会を運営しているのです。ドリュアス家はマギ商会を通じて、王家に炭を卸しています。本来ならば王都に支店を持つのが筋なのですが、ドリュアス家と高等法院の仲が悪く支店を持つとなると、法外な賄賂を要求される可能性が高いのです。よってマギ商会は、王都に支店は出しません」

 私はここでいったん区切ります。しかし私が次の言葉を発する前に、スカロンさんが口を開きました。

「王都での拠点となる宿が欲しいのね?」

 
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