第一章
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LIFE
「ねえ、生きるってどういうことかな」
ある日のお昼休みに二人で屋上で外を見ている時に、私は彼女に言われた。
「それってどういうことかな」
「生きるって?」
「そう、私達今生きてるわよね」
彼女はそれまで上を向いていたけれど今は私に顔を向けて問うてきた、風でスカートも髪の毛も流れている。
その中でだ、私を見て尋ねて来たのだ。
「それってどういうことかしら」
「どうなのかしら」
私は彼女の問いに首を傾げさせた、そのうえでだった。
考えてからだ、こう答えた。
「わからないわね」
「そうなの」
「今こうしていることじゃないかって思うけれど」
「それでもなのね」
「ええ、わからないわ」
また首を傾げさせて言う。
「ちょっとね」
「そうなのね」
「けれどどうしたの?急に」
今度は私からだった、彼女に問うた。
「そんなこと聞いて」
「ふと思ったの、何なのかしらって」
「それだけ?」
「そう、それだけ」
深い意味はなかったらしい、少なくとも彼女はこう私に答えてくれた。
「思ったの、人って絶対に死ぬわよね」
「それはね」
「生きている人は絶対に死ぬけれど」
「生きていることってどんなものなのか」
「そう考えたの、何なのかしらって」
「難しいわね、それは」
私は眉を曇らせて言葉を返した。
「どういうことかっていうと」
「変な質問よね」
彼女は少し申し訳なさそうに笑って私にこうも言って来た、フェンスに背をもたれかけさせて立ってベンチに座っている私の方を見て。
「これって」
「まあね」
「そう思ったの、生きていることは何なのかしらって」
「死んでない、ってことじゃないわよね」
「そういうものでもないと思うわ」
「それだとそれだけよね」
死んでいないということもだった、考えてみればだ。
「本当に」
「そう、それだけだから」
「じゃあどういうことかしらね」
私も考える様になってきていた、生きているということはどういうことなのか。
それでだ、私はベンチから立って彼女の隣に来てだった、こう言った。
「あのね」
「あのねって?」
「私達今こうしてお話してるわよね」
「ええ」
「これが生きるってことじゃないかしら」
「そうなるの?」
「生きているからお話が出来て」
それでだとだ、私は話していく。
「それで何かを見られて」
「見ることもなのね」
「そうじゃないかしら」
「ううん、そうかしら」
「言っている私もよくわからないけれど」
実際どうなのかわからなかった、言っている傍から自分が何を言っているのか疑問に感じてさえいた。けれど今は彼女に話し続けた。
「そういうものかしら」
「そうなの?」
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