誓いの言葉
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帰ってきて下さいね〜」
「ああ」
ヴォルフが返事をすると、夏空は嬉しそうに微笑むと家路へと歩いていった。そんな夏空の後姿を見ていると空腹感を覚えた。
我ながら現金なものだな、と溜息を吐きながら思ったヴォルフは地面に転がる藁と丸太の破片を拾い集めて薪置き場へと持って行った。
朝食を終えたヴォルフ達は、竜人族の老人が開いている加工屋の前に来ていた。
今日は訓練を休む日と決めており、今日一日をどうするかという事で話し合っていたところでアイルーが伝言を伝えに現れたのだ。
そこで神無達の装備が出来上がったのだと理解して加工屋に訪れたのだ。
「おう、来たかい」
「完成したのか?」
「うむ」
老人の言葉に神無達三人の顔に嬉しそうな顔が浮かんだ。
今まで使っていた武器防具が新調されるのは、自分達の成果が形になることだからだ。より強力な武器で狩りに行ける事を意味する。
「では奥に用意してあるからの。着てくるといい」
「うん! ありがとうお爺ちゃん!」
「ありがとうございます〜」
「お疲れ……」
神無達はそう言いつつ店の奥に入って行った。
「さて……」
老人がヴォルフを見上げる。
「あの娘達を鍛えてくれてありがとうなぁ」
老人が破顔し、人懐っこい笑顔を浮かべる。
「礼を言われることではない」
「いやいや。特に正太郎の奴があそこまでやる気を出すとは思っても見なかった。あ奴はこの先どうしたもんかと思っとったが、お前さんの弟子になってからはなぁ……村の皆もたまげとるわ」
正太郎の変化は村の人間からしても大いに驚くべきことなのだろう。ヴォルフ自身もそれは何となく理解した。
ヴォルフ自身、彼については色々と予想外の事をやらかすタイプだとは思っている。自分に弟子入りを志願するなど、最初は正気を疑ったくらいだ。
「奴に関しては何も言うまい。だが、奴も神無達もまだ強くなる」
「そうかい」
ヴォルフの言葉に老人は嬉しそうに笑った。
「お待たせです〜!」
夏空の明るい声と共に三人が姿を現した。
「ほう」
ヴォルフは以前とは全く違う彼女達の装備を見て感嘆の声を上げた。
「えへへ。どうかなヴォル君? 似合ってる?」
神無は楽しそうに言う。
神無はジャギィやドスジャギィから採った薄紫色の革や牙に爪を用い、金属で補強した装備だった。
額から鍔に掛けて鉄の前立てが付けられたジャギイの革の帽子。
肩や肘等の要所を装甲で覆う胴鎧に篭手。
ジャギイの革で作られた下半身を覆うタイプの外套と革製のスカート。
膝から足に掛けてはジャギイの革と膝を鉄の装甲で強化したロングブーツ。
新調された武器は、鋭い切っ先を持ちながらも厚い刀身と峰に刺々しいセレーション(鑢)と、装
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