誓いの言葉
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筋肉トレーニング。
・目隠しした上で音を聞き分ける聴覚強化訓練。
……等々と多義に渡った。因みに全ての小道具はアイルー達が用意した。ヴォルフに報酬を貰う事で徹夜で準備したのだそうだ。
これらの訓練はヴォルフの傷が癒えるまで、そして夏空たち三人の装備が完成するまで行われた。実に一ヶ月以上もの期間だ。
毎日ヘトヘトになって訓練を終えて入浴して夕食を食べて就寝して……繰り返す様は村人達には期待と少しばかりの畏怖の目で見られていた。
朝焼けに染まる訓練場。
一日の始まりを告げる鳥の声と共に吹く微風。
風を切る音共に振るわれる白刃。風と共に舞うそれはまさに剣舞。
力強い大地のような剛健さ、吹きすさぶ風のような鮮やかさ、流れ行く水のような美しさ、猛々しい炎のような激しさを併せ持った無形の舞。
ヴォルフが繰り出す剣はまさにそれだ。
掴み所の無い雲のようでいて、それでありながら力強い巌のような……そんな矛盾を併せ持った剣。
刀を鞘に収め藁束が巻かれた人の胴ほどの丸太に向き合う。
静かに響くは僅かな鍔鳴りの音だ。そして、僅かに遅れて丸太に三つもの線が走り崩れ落ちた。
水平、斜め、更には縦に真っ二つに断たれた丸太が地面に転がった。
「お見事です〜!」
ヴォルフの背に、のんびりとした呑気な声が掛けられた。
「夏空か。おはよう」
「はい。おはようございますヴォルちゃん。朝から頑張ってますねえ」
「何処まで治ったか知りたくてな。もう痛みは無いから完治しただろう」
ヴォルフの言葉に夏空は満面の笑みを浮かべた。
「まぁ! それは良かったです! お姉ちゃん、今日は張り切ってご馳走作っちゃいます!」
「それは楽しみだ」
ヴォルフは今日の食事当番は夏空だった事を思い出した。
「素直なヴォルちゃんは良い子良い子です〜」
夏空の手が伸びてきてヴォルフの頭を撫でる。
最初は何か変な感覚が気になって逃げようとしたが、彼女の手は逃げようとする先を予測しているかのように動くので、最近はされるがままだ。ヴォルフ自身嫌ではないが、何か奇妙な感覚を覚えるのだ。
「ん?」
不意に思い出した。夏空は朝の早起きが苦手でこの時間はとても起きられないのが常であり、いつもなら夢の中に居るはず。因みに彼女が朝食を担当する時は全員が遅めに起床しするか結局神無が作るかのどちらかだ。
「今日は起きるのが早いんだな」
「昨日は疲れてて早い内に寝ちゃいましたから、目が覚めるのも早かったんですよ〜」
夏空の言葉にヴォルフは納得する。いくら早起きが苦手でも、普段と比べて早すぎる時間に寝れば嫌でも目が覚めるものだ。
「それじゃあヴォルちゃん。私は朝食の準備をしますから、早めに
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