に
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
「桐谷の?」
先輩がきいてくる。
どうしよう。
先生は他の人にいうなって言ってたけど…。
でも、このままテディを放っておくわけにはいかない。
「あ、はい。私のです。悠璃先輩の横に落ちていたのとは別物ですよ?」
私は冗談っぽく言ってうまく誤魔化した。
「そっか。びっくりしたよ。いきなり目の前通ったから…。」
私もびっくりしましたよ…とは言えないな。
とりあえずなんとかやり過ごそう。
「わ、私、その……、キス…とかしたことないから驚いちゃって……。それで動揺して手が滑ったみたいで…。本当にすみません!!」
これでどうだ!!
私は心の中で胸を張った。
「……こっちこそごめん。いきなりあんなことして。ちょっとね…、七塚が死んでショックだったから…。」
架月先輩は切なそうに笑う。
やっぱり、悠璃先輩のことがこたえてるんだ…。
そのあと、私は先輩と話をしたりゲームをしたりして遊んだ。
先輩の気分が少しでも晴れてくれることを祈って。
それでもやっぱり気になるのはテディのこと。
一体テディは、なんなんだろう…。
その謎だけが、私の中に残った。
-------------------
次の日。
学校についた私は、違和感を覚えた。
ざわつきが、おさまるどころか増している。
昨日以上に学校内は騒然としていた。
私が首をかしげていると、走ってくる山倉先生の姿が目に映る。
「空亜!!」
息を切らした山倉先生は、私の肩をつかんできた。
「お前無事か!?何ともないか!?」
……こんなに慌てている山倉先生は初めて見る。
私は驚きで一瞬黙ってしまったが、なんとか答えた。
「大丈夫です……。どうしたんですか?」
私が言うと、山倉先生は大きく安堵の溜め息をつく。
そして私から手を離し、近くの壁に寄りかかった。
「そのようすじゃ、まだ知らないんだな…。」
意味ありげにいう先生の顔は、心なしか青ざめて見える。
「昨日、夕風が何者かに刺されて病院に搬送されたんだ。」
一瞬、世界が止まったような感覚に陥った。
……今、なんて?
架月先輩が、誰かに刺された?
「本来なら死んでいてもおかしくないらしいが、発見が早くてな。今は意識不明だが、一命はとりとめたらしい。……だが、かなり危険な状態だそうだ。」
う…そ。
なんで、架月先輩が……。
驚きで涙すら出ない。
「それともうひとつ……。倒れていた夕風の傍に、あかいくまのぬいぐるみが落ちていたらしい。」
私は目を見開かずにはいられなかった。
昨日、先輩の家から帰ったあとちゃんと鞄の中を見て、テディがあるのを確認したのに…!
あり得ない。
どうなっているの?
私はその日、まともに授業を受けられるはずもなくほとんどの時間架月先輩とテディのことを考え
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ