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あかいくま

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聞き、山倉先生は少し疑いの目になった。
「あかいくまのぬいぐるみ…か。この事は私以外の誰にもいうな。絶対にだ。」
山倉先生の真剣な顔を見て、私は頷かずにはいられなくなる。
丁度その時、遠くから架月先輩の声が聞こえてきた。
山倉先生にも聞こえたらしく、煙草を吸いながら手をヒラヒラと振る。
「ありがとうございました、先生。さようなら。」
そうして私は架月先輩の声の方へと走った。




「先輩!」
きょろきょろと視線をさ迷わせていた架月先輩に呼びかけると、先輩は笑顔で手をふってくれる。
「遅くなってごめん。」
「いえ、全然大丈夫ですよ。」
先輩も、今日は元気がないみたい…。
同級生で、しかも同じ部活の人が死んだんだから当然だよね…。
「桐谷、今日家来ない?」
いきなり言われ、私はかなり戸惑った。
「せ、先輩の家ですか!?」
「うん。部活ないしさ。…駄目か?」
そんなこと言われましても…。
どうしよう。用事はこれといってないけど……。
でも、ここで断ったら私が先輩を拒否してるみたいだしな。
よし。
「いいですよ!行きましょう。」
私が答えると、先輩は再び笑顔になった。



---------------
「適当に座ってて。」
家につくなり、先輩は私を部屋へ通し自分だけ出ていった。
とりあえず、部屋の中を見回してみる。
家具はベッドとテレビ、ソファー、テーブル、クローゼットのみで、他は何もないと言っていいくらいさっぱりしていた。
すっごく片付いてる…。
これは、私の部屋を見せるわけにはいかないなぁ…。
ぼんやりとそんなことを思っていると、ガチャッと扉が開いた。
「おまたせ。」
入ってきた先輩の手には、ジュースが入ったコップ2つがある。
それを机の上におき、架月先輩はソファーに座っている私のとなりに腰をおろした。
……いつもより距離が近いな。
ちょっとドキドキしてしまう。いや、付き合ってるんだしいいのかな。
「桐谷…」
その時、先輩がグッと顔を近づけてきた。
「え…、ちょ…」
私がなにかをいうより早く、先輩の顔はすぐ近くまで迫ってくる。
思わず目を閉じそうになったとき、

ぽとっ

なにかが目の前を落下していった。
先輩も驚いて私から顔を離し、落ちてきたものを見る。
それを確認した私は、息が止まるかと思った。
「なんだこれ…。どっから…?」
先輩が拾い上げたそれは、紛れもないテディだった。
「これって…、七塚の横に落ちてたやつじゃ…?」
先輩が顔をしかめる。
……先輩の言うとおりだ。
テディは確かに悠璃先輩の死体の横に落ちていた。
そしてそれは、警察が押収したはず…。
こんなところにあるなんておかしい。
しかも今、一体どこから落ちてきたの…?

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