に
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翌朝。
登校してみると校門の前には一台の救急車と、数台のパトカー。
「悠璃……………先輩……………?」
体育館中央、血まみれで倒れている悠璃先輩の姿を見て、私は放心状態になった。
傍では屈里先輩や友達らしき人が泣き崩れている。
………なんで、こんなことになってるんだろう。
昨日までは悠璃先輩、弾けるような笑顔だったのに。
なんで、死んでしまったの?
私にとって、すごく大切な存在だったのに。
涙で滲む目でもう一度悠璃先輩を見たとき、私は気づいてしまった。
「……テディ?」
悠璃先輩のすぐ横に、昨日なくしたはずのテディが落ちている。
私がそれに手を伸ばすと、
「証拠品にさわらないでください。」
と、警察の人にとめられた。
そしてなにも分からないまま体育館は封鎖となり、部活もしばらく停止となった。
後から聞いたことだが、死体に刺さっていたナイフには誰かの指紋も、指紋を拭き取った後も、手袋などを使用した形跡も無かったらしい。
当然のように、その日の学校はいつにも増してざわついていた。
先生たちも落ち着いてはいられないようで、授業はどこか不安定なものばかりだ。
「この学校で人殺しなんて…。」
「自殺かも知れないぞ。」
「怖いよ…。」
そんな会話があちこちから聞こえてくる。
その度に、私の脳裏には目を大きく見開き心臓から血があふれでている悠璃先輩が蘇った。
そして、それを思い出す度にからだの震えが止まらなくなる。
生徒のざわつきと教師の焦りが入り交じった状態で、六時間目終了のチャイムがなった。
終学活で、山倉先生は生徒たちに十分注意するようにと警告する。
「じゃあお前ら、明日も元気に学校こいよ!!解散!!」
先生の言葉で皆は散り散りに帰っていった。
先輩の掃除が終わるのを待っている間、私は空き教室へ先生と入ることにした。
多分、先輩の死を目の当たりにして不安になっている私を心配したのだろう。
先生は入るなり「大丈夫か?」と声をかけてくれた。
「まだ……………整理がつかないです………。」
私が答えると、山倉先生は私の頭に手をのせわしゃわしゃとなでる。
「まぁ、無理もないさ。不安になったら私を頼れ。」
先生の優しい声色に、危うく涙がこぼれそうになった。
それを我慢し、私は口を開く。
「あの………、ひとつ気になることがあるんです。」
「なんだ?」
「悠璃先輩の近くに落ちてたあかいくまのぬいぐるみ……。あれ、私のなんです。」
私が言うと、先生は僅かに目を見開いた。
そして、徐に煙草を吸い始める。
「確かなのか?」
「はい……。昨日丁度悠璃先輩が亡くなっていた場所に落ちてたんです。鞄に入れたんですけど帰ったら無くなっていて…。今朝あそこにあったんです。」
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