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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第五話 考察とフラグ
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学院長はどのような人なんでしょうか」

 士郎の問いにシュヴルーズは、そのふくよかな頬に手を当て少し考える仕草をしたあと、自信を持った顔を士郎に向けた。

「素晴らしい方です。どんなことよりも、まず生徒のことをお考えになられる、そんな方ですわオールド・オスマンは」

 その答えを聞き、士郎は今度こそ保健室から出て行った。





 士郎が石畳の廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。

「ああっ、シロウくん。ここに居たんですか」
「コルベール先生、どうかしましたか?」

 士郎が後ろを振り向くと、多量の本を抱えたコルベールが。

「ええ、シロウくんのルーンをもう一度見せていただこうと思いまして探していたんですよ」
「そうですか。ところでその多量の本は一体?」

 話しながらも士郎は自然にコルベールが抱えた本を持ち上げる。

「ああ、ありがとうございます、シロウくん、それは図書館に返しにいくところでして。ええ、実はシロウくんのルーンを調べているのですが、それがどうにも分からなくて。それでシロウくんのルーンをもう一度見せてもらおうかと思いまして、本を返しに行くついでに探していたんですよ」

 ルーンを調べる……か。

「図書室までですか。ああ、ルーンについては構いませんよ、どうぞ」

 士郎は片手で本を抱え、左手にあるルーンを見せた。

「ああ、ありがとうございます。フムフムどれどれ……前にスケッチしたものに間違いはありませんね、それではどうして見つからないんですか? ……あとは“フェニアのライブリー”で調べるしかありませんね」
「見つからなかったんですか?」

 首を振るとコルベールは、溜息を吐いた。

「ええまあ。シロウくんのルーンは文字の下に不思議な紋様がある、珍しいものだからすぐに分かると思ったのですが……」
「紋様?」

 コルベールの言葉に士郎が疑問符を浮かべる。

「ええほら、あるじゃないですか」

 コルベールが指差す先は、左手の甲に描かれた使い魔のルーン……その下にある赤い紋様。

「あ〜……。そのコルベール先生。実はこれルーンではないんですよ」

 士郎の言葉にコルベールが驚きの声を上げた。

「え? どういうことですか?」
「これは使い魔のルーンとは別物です」
「そ、そうなんですか? それではこれは何なんですか?」

 不思議そうな顔をするコルベールに、士郎はどこか懐かしげな顔をして左手の甲を見つめる。

「まあ、一種の記念品の様なものですよ……そう言えば“フェニアのライブリー”とは?」

 急に話しを変える士郎を不審に思ったコルベールだったが、左手を見つめる士郎の視線に何かを感じ取り、何も言わず士郎の話しに乗った。

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