第一章 土くれのフーケ
第五話 考察とフラグ
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『ヴィンダールヴ』あと『ミョズニトニルン』でしたかしら?」
シュヴルーズは時折頷きながらも答える。
「確か“ガンダールヴ”は神の左手と呼ばれていて、あらゆる武器を使うことが出来たそうですよ。“ヴィンダールヴ”は神の右手と呼ばれており、あらゆる獣に乗ることが出来て、そして“ミョズニトニルン”は神の頭脳と呼ばれて、あらゆるマジックアイテムを使用できたそうですよ。……あと何かあったような気がするのですが……」
シュヴルーズの話を聞き、士郎は自分の左手に刻まれているルーンを横目で見た。
神の“左手”……あらゆる武器を使うことが出来る“ガンダールヴ”か。俺の左手にあるルーン、俺の知っているルーンとは少し違うがガンダールヴと読めないことはない。可能性は高いか……。
「ミス・ シュヴルーズ。ガンダールヴについて他に何か知っていることはありませんか?」
「ガンダールヴですか。すみませんミスタ・シロウ、あまり詳しくないものでこれ以上のことは……」
シュヴルーズのすまなそうな顔に士郎は笑顔で顔を振る。
「いえ、とても参考になりました。こちらこそ、ありがとうございました」
「ミスタ・シロウ、偉そうに言ったあとで何ですが、“虚無”の系統についてならばオールド・オスマンが詳しいと思いますよ」
「オールド・オスマンですか?」
士郎が困惑した顔で聞くと、 シュヴルーズは納得したような顔で頷いた。
「ああ、ミスタ・シロウは知らなかったですか。オールド・オスマンとはこの魔法学院の学院長のことですよ」
「学院長ですか。ああ、だから“虚無”について詳しいと」
士郎が納得したように頷くが、それに対してシュヴルーは首を左右に振る。
「いえ、学院長だから詳しいと言うわけではないんですが、確かちょうど二年ぐらい前でしたか、学院長が“虚無”について調べていたことがあったんですよ」
シュヴルーズは昔を思い出すかのように、左上を見上げる。
約二年前? ……ルイズが入学してきた頃、か……。
「なので“虚無”について何かお聞きになられたいならば、学院長に聞かれればいいと思いますよ」
学院長か……どのような意図を持って“虚無”について調べていたんだ。利用が目的? それとも守ろうとしているのか……敵か味方か、出来るだけ早く調べておきたいな。
士郎は席を立ちながら シュヴルーズに礼を言った。
「それではこれで俺は失礼させてもらいます。今日はありがとうございました」
「いいえいいんですよ。ミスタ・シロウとお話できて、こちらも楽しめたのですので」
士郎が保健室のドアを開ける直前に、シュヴルーズのほうに振り向く。
「すみませんミス・シュヴルーズ。最後に一つお聞きしたいのですが、
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