第七十五話 出たよ、厨二的な敵が……
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手前、勝手な行動をすれば叱られるだけでは済まないかもしれない。
しかも自分が尊敬する兄のギレンにも迷惑を掛ける可能性も高い。
だが、あの闘悟の魔法修練なのだ。
是非自分の目で確認したいという衝動が激しい。
自分の中で葛藤(かっとう)していると、クィルが苦笑しながらステリアを見る。
「あ、あのステリア様」
「ん? 何? どうしたのクィル?」
「私も見てみたいのは山々なのですが、ここはトーゴ様の仰った通り、本番のお楽しみということでよろしいのではないでしょうか?」
「うぅ……」
まだ釈然としていない様子だが、クィルの説得に応じた方が、後々問題が起きないのも事実だ。
それに、確かに本番のお楽しみとして取っておくのも、それはそれで良い。
「…………はぁ、しょうがないわね……」
結局悩んだ結果、彼女の出した答えは静観(せいかん)だった。
「もう! こうなったら物凄いもの見せなさいよトーゴ!!!」
ステリアは拳を突き出し声を上げる。
その頃、闘悟は闘武場から出て宮殿に向かっていた。
実はミラニの言ったことは正確に的を射ていた。
大会を見ていた闘悟は、自身も体を動かしてみたくなったのだ。
だからいつもやっている魔法修練を急にやりたくなったのだ。
それに、あまり敵状視察(てきじょうしさつ)をするようなタイプではないので、別に大会を細かに観察しようとは思わない。
相手がどんな魔法を使うのか本番を楽しみにしておくのも一興だと感じている。
闘武場から出てしばらく歩いていると、ふと突き刺さるような視線を感じる。
闘悟は平静を装いながら人気の無い場所へと足を運ぶ。
そして、誰もいない裏道に辿り着いて、そのまま足を止める。
「……さてと、オレに何か用か?」
闘悟は視線を感じる方向に向かって言葉を放つ。
それにしてもと闘悟は思う。
異世界に来て、自分が変わったと思うことがたくさんある。
魔法や魔力は別にして、こんなふうに誰かの気配を探知できる能力など無かった。
実際に感じているのは魔力の意識なのだが、闘悟はそれを人が存在する気配だと思っているが、確かに気配には違いないので間違いではない。
魔力を視認したり探知したりと、もう丸っきり異世界の住人になっている。
闘悟が声を掛けると、ジャリッと地面をする足音が聞こえた。
「アンタ……誰だ?」
闘悟の目の前に現れた人物は、大柄な男だった。
「俺を知らないのか?」
不愉快そうに男が聞いてくる。
そんな顔されても闘悟には本当に見覚えなど無い。
「悪いな、世間知らずなんだよ」
「みたいだな転校生」
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