第七十四話 ファンタジー種族キターーーーーッ!
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聞くことにした。
「そういや、エルフって初めて見るけど、あまりこの国には来ないのか?」
すると、ミラニは眉をピクリとする。
あ、これも地雷だったかな……?
闘悟は失敗したと思った瞬間、ミラニが話してくれた。
「……あまり来ないどころか、エルフはほとんどの者が他種族との交流に距離を置いている」
「……何でだ?」
本当は聞いてはいけないのかもしれないが、持ち前の知識欲が邪魔をする。
「彼らは他種族を信じていないのよ」
その言葉に付け足すように言葉を発したのはニアノエル王妃だった。
皆がニアに視線を集中させる。
「エルフは昔、ある出来事によって壊滅寸前にまで追い込まれたそうよ」
その顔はいつもの明朗(めいろう)な表情では無く、陰(かげ)りを帯(お)びていた。
「それが原因で他種族と距離を置くことになったそうです」
いつの間にか近くに来ていたリアが言う。
「……ある出来事というのは何でしょうか?」
話を聞いていたステリアがニアに尋ねる。
彼女も興味が湧いたのか、目が真剣だ。
だが、ニアは微かに首を横に振る。
「遥か昔のことで、その内容を知っている人はほとんどいないみたいね」
「文献にも記録されてはいないそうです。ただそういった事実があるとはエルフが宣言しています」
ニアとリアがそれぞれ説明してくれた。
「そんな昔のことを今も……ですか?」
ステリアは眉を寄せて言う。
昔のことをあまり顧(かえり)みない現実主義者の彼女からしたら、エルフの考えが理解しにくいのだろう。
「それだけ根が深い……ということでしょう」
リアは悲しそうに目を伏せる。
いつもの彼女とギャップがあり過ぎて少し戸惑う。
闘悟はヤーヴァスの姿を思い浮かべる。
彼がエルフだとバレないようにしているのも、公(おおやけ)になれば大騒ぎになると思っているからだろう。
「そんじゃ、アイツ……ヤーヴァスは変わってるってことか?」
「ん……エルフ族にしては……だな」
ミラニの言う通りだ。
ヤーヴァスが他のエルフと同じなら、こんな大会には参加しないだろう。
何せ周りは人間と獣人。
エルフは恐らく彼一人だ。
他種族から距離を置いているエルフらしくないと思えるような行動だ。
ギルドにも登録して、人間であるミラニとも仕事をしたことがある。
他のエルフが聞いたらどう思うだろう。
闘悟はそんなことを思い目を閉じる。
過去の出来事……忘れられない出来事……忌まわしい出来事……。
それがエルフの感情を支配してんのか……呪いのように……。
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