黄巾の章
第11話 「忝(かたじけな)い……」
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
な」
「ご存知とは……そういえば将軍は武官でしたな」
史実だと政治色が強いから、武官というより文官の色が濃いが……
「張遼を動かす、か……お主は何者だ? 郷循という名前は偽名にしても、名のある武将に違いあるまい」
「ああ……そういえば名乗るの忘れていました。俺は北郷盾二。一応、巷では天の御遣いなんて言われていまして」
「なに! お前がか!」
いや、似合ってないのはわかってるよ。
天の御遣いなんて自分で言うのもこっぱずかしい。
「まあ、言いたい奴が言っているだけです。俺は俺ですからね。それにこれらの策は俺だけで作ったのではなく、俺の配下の軍師二人と共同で作った策です。俺だけの力じゃありませんよ」
「……そうか。お前が、な……」
馬元義が深く頷く。
「で、確認なのですが……降伏しますか? 降伏するなら将軍の立場は守ります」
「守る、とは?」
「将軍には名を捨てていただいて黄巾の一武将として助命しますよ。官への報告に名前があるとまずいのでしょう? 宦官とのことは砦にいたときに将軍の話を聞きましたので」
「ふふ……なるほど、ありがたいことだ。そうだな、部下は助命願いたい」
「……部下は、ですか。将軍は?」
「私か。郷循……いや、北郷どの。貴殿の申し出は大変嬉しいが、その前に一対一で立会いを所望する!」
「…………」
立会い、ね……
「……なるほど。武人の誇り、ですか」
「ああ。先程までは死ぬのに何の躊躇いもなかった。部下の為に死ぬのもよいと思っていた。だが、お主が天の御遣いであるならば話は別だ! 名にし負う貴方と矛を交えるのは武人の誉れ! 何卒一騎打ちを所望する!」
「……やはり元武官、ということですね。いいでしょう」
力を発揮できずに死ぬとなれば、武人として死よりもつらい。
俺自身も武人であればこそ、その想いもわかる。
「忝い……」
馬元義は幅広の剣を抜き、こちらに向けて構える。
その周囲から、兵士たちが遠巻きに離れていく。
「こちらは無手です。いつでもどうぞ」
俺は、AMスーツの人工筋肉を膨張させて構える。
「ゆくぞ!」
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ