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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第11話 「忝(かたじけな)い……」
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んさんら……気ぃ緩みすぎやで?」

 あ、霞さんがジト目でこっちを見ている。
 ごめんなさい。

「で、この後やけどほんまにここ全部焼き払ってええんか?」
「うん。ここに籠もるより、焼き払って退路を断たせたほうが後々やりやすいんだって。たぶん朱里ちゃんも雛里ちゃんもこっちに向かってると思うし、全部焼いちゃって夜が明ける前に合流しよ」
「そやな……そういや盾二はどこや?」

 霞ちゃんがきょろきょろと盾二さんを探す。
 私は、懐から紙を取り出すと細かく書かれた内容を確認する。

「えーと……状況がこうだから、たぶんご主人様は朱里ちゃんたちと合流して次の仕込みをしてるんじゃないかな?」
「どれどれ……はんはん。んじゃ気をつけて下りんとあかんな。了解や」

 霞さんは、砦のほうに振り返って叫びました。

「おまえらー! 全部焼いたらさっさと撤収して麓にもどるで! 捕虜は優先して陣にもどらせぇ! いいな、全部焼くんやで! 武器一つ、米一つ残したらあかんで!」
「「「応っ!」」」

 兵隊さんたちがそれぞれ作業にかかります。
 さて、私達も急がないと。




  ―― 盾二 side ――




「朱里、雛里」
「「盾二様!」」

 俺は山を迂回して向かってきた朱里と雛里に合流していた。

「作戦は阿の壱のまま。そちらの状況は?」
「はい、相手は予想通り山の中腹の高台で足止めのままです。無理に下山も砦への回頭もありませんでした」
「予定通り煙に巻いた後、音でその場に足止めさせています。追加の焚き木もくべて置きましたので、明日の昼ぐらいまでは続くかと。あと罠はこれ見よがしに多数仕掛けました。隠し罠も十分に」
「そうか……では敵の動きは要注意で。いまのうちにこっちにも罠を仕掛けよう。時間もないから、綱張りだけでいい」
「了解しました。夜明けまでにはなんとか」
「夜明けまでは、後数刻。時間との勝負だ。隠蔽にはさして凝らなくていい。数多く綱を張るんだ。疑心暗鬼にさえ陥らせればいいのだからな」

 俺は二人に伝えると、煙でよく見えない月を見上げた。

「さて……あの将軍か。できれば降伏させたいが……」




 ―― other side ――




 馬元義は焦っていた。
 周囲は闇。そして煙である。
 視界はほぼないに等しく、山の反対側からの人の罵声が聞こえたことで砦が攻撃を受けているのはわかる。
 だが、こちらの眼下の麓でも出陣のドラが先程から鳴り響いているのである。
 うかつに動けないため、弓で攻撃させたが向かい風の為に麓まで届いているとは思えない。
 おまけに麓への斥候は、煙による視界不良、おまけに呼吸困難な上、罠によって負傷者が多数でている。
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