第一物語・後半-日来独立編-
第三十二章 辰の地、戦火は走る《3》
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いことはまだ分からない。
自分達はこれからそんな騎神に意識を送り込むわけだが、当然自分達は騎神に意識を残そうなどとは思わない。
何時もと違う高さで世界が広がり、自由に空を飛べるあの感覚は何時体験しても胸を踊らせるが、それは地上で生きているからこそ得られるものだ。
その感覚はこれからも地上で生き続ければ味わえるのだから、留めようと考えること自体馬鹿らしいものである。
操縦席へと身を下ろし、ヘルメットを頭から被せる。
青く塗装された透明なアイシールドから外にいる整備班を見て、彼らに準備完了の合図を送る。
外から意識を騎神へと送り込む準備が始まり、操縦者の体調を確認、脈数や血圧など細やかなところを確認した後、
「これから意識を騎神へと送り込むが、心の準備は出来たか?」
肯定の意を、手を挙げることで示す。
外からそれを確信して、それを開始する。
「よし、それじゃあ行くぞ。五秒前、四、三、二、一」
零、と聞こえると同時に睡魔に襲われたような感覚を覚え、ゆっくりと視界が閉じていった。
抜け殻のような彼らを見て、意識は無事離れたことを確認した。後は騎神が起動すれば完了となる。
しばし間を置き、息を吹き返したように騎神が起動した。
唸るように機械音が鳴り、三機の騎神の頭部が動く。
『送り込み完了』
『こちらも完了です』
『おー、高い高い』
三人はそれぞれ視界を動かしたり、手を動かしたりする。
まだ機体は固定されているため、動きを確かめる範囲は限られているが出撃した時にでも確かめればいい。
「出撃体勢に入れ、さっさと行くぜ」
『機械心に火が点いたな』
二機は頷く。
ああなっては言うことを聞くのが一番だ。面倒事になる前に出撃体勢へと入るため、早々に脚型加速機を噴かす。
正面。倉庫の扉が開き、外の光に倉庫内が照らされる。
「固定装置解除。指定された位置まで移動しときな」
爺さんの声が届く頃には、騎神を固定していた装置が離れていた。
加速機により機体は浮いているため、初めは揺れるも姿勢を保つ。
次に腰装着型加速機|《ウエストスラスター》の出力を徐々に上げ、ゆっくりと前進し外へと出る。
日射しの下、滑走路に青の騎神が現れる。
体長機を中心とし、左右に一機ずつ量産機が並ぶ。
背には短機関銃と長銃、両腰には二本の流魔刀の柄が見える。
地を滑るように進み、赤のマークが見えるのでそこまで行き、そして留まる。
三機は横一列に並ぶように、滑走路の最先端まで引かれている二つ白線の間にそれぞれ並ぶ。
上下に揺れる身体を制御しながら、蒼天の空の下に青が光る。
『聞こえてるか。聞こえるなら応答しろ』
耳が音を捉らえたのと感覚と同じに、違和感無く声が届く。
機体の動作に異常は見
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