第一物語・後半-日来独立編-
第三十二章 辰の地、戦火は走る《3》
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んが説明のため映画面を表示し、口を動かす。
「三機とも良好だ。空中戦使用にしてあるから燃料の残量には気を付けるんだぞ」
映画面には倉庫に収められた騎神の正面の姿が映し出されており、下半身である脚の部分を見ると人型騎神の特徴である人のような脚は無い。
代わりに流魔結晶を使った脚型加速機|《レッグスラスター》が備え付けられ、肩と腰回りを専用の機械で固定している状態だ。
爺さんは説明を続け、
「装備は流魔刀と実弾の短機関銃、流魔弾の長銃だ。装備してある流魔刀は流魔を注入しなければ短刀、すれば最大長さ十メートル越えの長刀になるぞ」
「他国との争いが何時起こるか分からない状態では、その程度の装備になることは仕方無いか」
「お前さんらは学勢のなかでも最も騎神の操縦に慣れている。実績もなかなかいいからな、準備万端とは言えないが戦えるだろ」
「他人事だな」
「俺が若かりし頃は――」
「爺さんの自慢話は帰ってから付き合うから、出撃前に疲れさせないでくれ」
一度話したら当分はその話を聞くことになる。
時間の無駄だし、まず今はそのために来たのではない。
三人は爺さんを越え、操縦席へと逃げるように足早に向かう。
「全く、人の話を聞かんとはまともな大人にならんぞお」
「そう言ってる爺さんは四六時中、機械のことばっか考えるじゃん。それがまともとも思えないんですよねー」
「俺は別だ、特別枠だ」
「なんだしょりゃあ」
無駄口を叩きながら、三人はカプセル状の操縦席を開き、中へと入る。
戦闘機よりも広い操縦席だが、中には騎神を操縦するようなものはない。
あるのは顔全体を覆うヘルメットだけだ。
それもそうだ。騎神・戦竜は同一式の騎神だ。
個別式の騎神はOSを持っており、操縦者が命令した通りに動く。そのため操縦者が騎神に寄り添うようにいるのが特徴だ。
そして同一式とは個別式の騎神とは違い、OSと呼ばれるものは持たない。ヘルメットにより意識を騎神へと送り込み、自身が騎神となり戦う。
操縦者の身体はその間、操縦席のなかで植物状態のまま生き続ける。
このため同一式は欠点があり、操縦席が破壊されると特別な処置を施さないと元の身体には帰れないこと。
それと元の身体を失うと、永久に人には戻れないこと。
更には長い間、同一式の騎神に意識を留めておくと元の身体に帰れない場合がある。しかし、そのようになるのは一ヶ月以上の月日が必要なため、なる可能性は無いに等しい。
またこれを利用して自身の意思を騎神に留め、半永久の命を得ようと考える者もいる。
生身が朽ち果てたとして、意識は消えないのか。と各国で議論が行われたが、どうやら消えないようである。
意思を伝える性質がある流魔の作用ではないか、と言うのが最も有力な説であるが詳し
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