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あかいくま
いち
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り向いて聞くと、架月先輩は何故か口ごもる。
「あのさ…、俺桐谷のことが好きなんだ。」
「……………え?」
一瞬、私の思考回路は途切れた。
先輩の今の言葉が頭のなかでエコーを繰り返す。
「嫌じゃなければ、俺と付き合ってほしいんだけど…。」
私がいつか言おうと思っていたことを、先輩の方からいってくれるなんて…、
これはきっと夢だ!そうだ、夢だよ自分!
私は自分の両頬を思い切り叩いた。
…痛い。すごく痛い。どうやらこれは夢じゃないらしい。
先輩はびっくりした顔で私を見た。
「どうしたの?…やっぱり嫌?」
「い、嫌じゃないです!!嬉しいです、すごく!ずっと先輩のこと好きだったのに、嫌なはずありません!!」
私は勢い余ってついそう言ってしまった。
自分でも顔があついことがわかる。
架月先輩はそんな私を見てクスッと笑いを漏らした。
「ありがとう。嬉しいよ、桐谷。返事はOKってことでいいんだよな?」
私は顔を真っ赤にしたまま頷いた。



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「えー!!夕風先輩と付き合うことになったー!?」
「声!!声がおっきいよ、一美!!」
朝一番、一美の声が響く。
私は慌てて一美の口をふさいだ。
「夕風先輩って、女子にモテモテなのに今まで一回も告白オッケーしたことがないあの先輩!?」
一美はものすごい勢いで聞いてくる。
「まあ…………そう、かな。」
顔が火照りつつも、私は答えた。
「何々、なんのはなし?」
後ろからゆぐむが興味深そうにやってくる。
「聞いてよゆぐむ。空亜、夕風先輩と付き合うんだって!!」
一美が言うと、ゆぐむは「はぁ!?」と身を乗り出した。
「あの夕風先輩!?俺、すごく尊敬してる人だよ!?」
ゆぐむみたいな完璧なひとでも尊敬してるんだ…。
私、すごいひとの彼女になったみたい…。
「そっかぁ…。空亜も彼氏ができたかぁ…。またダブルデートしようね!」
一美は笑顔でそう言った。
デート、なんて、夢のまた夢だと思ってたのになぁ。
「いやいや、なにいってんの一美。俺みたいなやつが夕風先輩とお出掛けなんて恐れ多いよ。」
ゆぐむは青ざめた顔で一美に訴える。
「大丈夫だよ、ゆぐむ。空亜の彼氏なんだしさっ。」
改めて“彼氏”何て言われると照れるな…。
一美はなんとも思ってないみたいだけど。
その時、締め切られていた教室のドアが静かに開いた。
「桐谷、ちょっといい?」
架月先輩だ。
一部の女子がざわざわと黄色い声をあげている。
男子はみんな体を強ばらせたように見えた。
私は急いで架月先輩の方へ行く。
「どうしたんですか?」
「今日、一緒に帰らない?」
架月先輩はさらっと言った。
一緒に帰るって、恋人らしい行為だ。
嬉しいのやら恥ずかしいのや
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