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あかいくま
いち
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開けると、数人の先輩と後輩がいた。
「こんにちは!」
最初に飛んできたのは後輩の挨拶。
私はそれに返事をしてから先輩に挨拶した。
「ヤッホー、空亜ちゃん!」
明るい声で返してくれたのは、七塚悠璃(ななつかゆうり)先輩。
優しくて親しみやすい先輩だ。
「早く着替えて練習入ってね。」
厳しめの口調で言ったのは井出屈里(いでくつり)先輩。
恐いときもあるが、バスケが飛び抜けてうまく、クールでかっこいいとみんなから慕われている。
私は返事をし、すぐに着替えをはじめた。

更衣室を出ると、丁度隣の男子更衣室から夕風架月(ゆうかぜかづき)先輩が出てきた。
架月先輩は背が高くてかっこよくて、私が密かに想いを寄せている相手だ。
「よ、桐谷。」
目が合うと、架月先輩から声をかけてくれた。
………本当に、この人はかっこいいなぁ…。
「こんにちは、架月先輩。」
うちの学校のバスケ部は、男女合同練習が基本だ。
そのおかげで、私はいつも架月先輩からバスケを教えてもらうことができる。
「今日はなに教えてほしい?」
先輩に教わることが当たり前のようになっているのが嬉しい。
部活はこれのために来ていると言ってもいいくらいだ。
「えっと、じゃあ………」
私が教えてほしいことを言うと、先輩はボールを軽くついた。
「OK。じゃ、まずは見本な。」
そう言って、架月先輩は丁寧に私に教えはじめてくれた。


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「さようなら!!」
「バイバイ。」
「お疲れー。」
そんな声が辺りに飛び交う。
部活の時間は終わり、みんなは家路についていった。
「空亜ちゃん、ばいばいっ。」
「あ、はい!さようなら、悠璃先輩。」
悠璃先輩はいつものようにスキップしながら更衣室を出ていく。
更衣室には私一人になってしまった。
急がないと…。
脱いだ練習着をたたまず鞄につめこみ、戻ろうとするチャックを無理矢理閉めた。
「よし、完了!」
そう呟き、私は更衣室を出る。
体育館にはもう誰もいず、しんと静まり返っていた。
まだそとは明るいものの、やはりちょっと不気味だ。
その時、ガチャッとドアのあく音がする。
「あれ、桐谷。まだいたのか。」
内心少し…、いや、かなりビビっていた私の前に、架月先輩が姿を現した。
「架月先輩…。おどかさないでくださいよ…!」
「ん?あー、もしかして恐かったのか?」
架月先輩はからかうように言う。
まぁ、図星ですけど…。
「じゃあ、もっと早く帰り支度するんだな。」
黙っている私に、架月先輩はそう言った。
私は小さく返事をし、体育館のドアへ向かう。
「あ、ちょっと待って。」
その足は、架月先輩の声によってひき止められた。
「どうかしましたか?」
私が振
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