暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
檻の中
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まさら否定すまいが、後者については原因は解かっている。おそらく彼女はいまだに自分のワイヤーという、アブノーマルな攻撃方法を認識していないのだろう。
まぁそれでも、ここまで細っこい糸を肉眼で確認しようと言うほうが無理だと思うのだが。
併走して飛んでいるキリトとカグラはいつものことと肩をすくめているだけだ。そのキリトの胸ポケットから顔を出すユイは何が納得できるのか、しきりにフムフムと頷いている。
することがないのか、キリトが斜め後ろを飛ぶリーファに訊いた。
「なぁリーファ。魔法ってのは回避できないのか?」
「遠距離攻撃魔法には何種類かあって、威力重視で直線軌道の奴は、方向さえ読めれば避けられるけど、ホーミング性能のいい魔法や範囲攻撃魔法は無理ね。それ系の魔法を使うメイジがいる場合は常に高速移動しながら交錯タイミングをはかる必要があるわ」
「ふむう………。今までしていたゲームには魔法ってなかったからなあ……。覚えることがたくさんありそうだ」
キリトは難解な問題集を与えられた子供のような顔で頭をかいた。
「まあ、キミならすぐに勘がつかめる……と思うよ。………ねぇ、レン君は何か魔法スキル取ってるの?」
リーファは突然、前を飛ぶこっちに話を振っってきた。
漆黒のロングマフラーの端っこを、尻尾のように揺らして飛ぶケットシーの少年は少し悩んだ後言った。
「んー。取ってるっちゃ取ってるかな」
自分で言っといて何だが、かなり不明瞭な言葉を言ったものだと思う。
案の定、シルフの少女の顔が更なる混乱に彩られる。
だが仕方ない。これを言ったら、リーファに言い訳をするだけではない。キリトにも要らぬ心配をされることになるかもしれない。
そんなことは極力避けたいところだ。
だからレンは曖昧な笑みを作って再び正面を向く。
背後では、リーファが今度はカグラに魔法スキルの有無について問う声が聞こえたが無視した。
大体カグラは魔法スキルをまるで取っていないし。
レンの視界の先に、傾きかけた太陽に照らされて金緑色に輝く草原が、森の彼方に姿を現しつつあった。
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