14 「★★★★『女王リオレイアの狩猟』」
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。風に煽られないよう身をかがめて、流れるように変わっていく風景を見やる。
(まさか、俺が誰かの為にこんな行動をおこすなんてな…)
このままずっとあの渓流の奥で、誰にも知られず死を迎えるのだと思っていた。
妙な感慨に耽りながら、ぼうっとすること暫く。人より体温の高い猫を抱いているせいか、気づけばうとうととしていたナギがデュラクの鳴き声に目を覚ますと、そこは海の上。日は傾き始めて、今は午後4時過ぎといったところか。思ったより早く着いた。日没あたりに着くと思っていたのだが。
「悪い、寝てた」
ピィー?
しっかりしてくれよ、とばかりの声に笑って背中を叩く。既に島の全体像は見えていた。あと数分もすれば着くだろう。ベースキャンプには寄らず、エリアをひととおり上空から回ってみようと決め、デュラクの頭上からひょっこり頭を出した。横からは翼が邪魔で見えないのだ。
その姿を最初に発見したのは、ナギより視力が優れているデュラクだった。ハンターズギルド発行の地図において“エリア2”と呼称されるそこは、浅瀬の川が真ん中に流れている広いスペースだ。ここならすぐにベースキャンプにも戻れる上、火傷の応急処置として活用できる水が近くにあるから、雌火竜と戦うのにはなかなか良い場所である。
「お、居たな。まだ生きてるか。よかったよかった…」
とりあえずの生存確認にホッと息を着くと、そのエリアを見下ろせる場所に降り立ってもらった。片腕が負傷していても、カエンヌはHR3のハンター。まだ若いが、若い中での実力は確かにある。レウスシリーズやベリオロスの大剣を所持していることからもそれは明らかだ。
そんな彼のプライドは、おそらく他の一般的なハンターに比べて高いのだろう。先日の手合わせで彼が負傷しているというのは目星がついていたのだが、ナギがその怪我(右腕上腕部を庇っていたので)に響かないような叩きのめし方にしたこと気づいた彼は、かなり鋭い目線でナギを見た。レウスヘルムの向こう側から、それはもう目線で人を殺せるくらいに。
途中いきなり現れたナギがサクッとリオレイアを倒しでもしたら、獲物を横取られたとまた怒るのが目に見えてわかる。彼には悪いが、できれば窮地に陥ってから、やむを得ないという時になってから助けに入りたい。主に帰りのナギの竜車での精神安定のために。
彼が確かに腕の負傷という不利な状況下ながらも、この3日間生き延びてきたのはひとえに彼の腕の良さである。というより大剣を半分片手で振り回しているその腕力はいったいどこから来るのか。
このままうまくいったら、普段より時間はかかるだろうが、倒せるという確率もないわけではない。
「あ、俺達食料ないじゃん」
「ニャ。ちょっと黒毛の同胞に交渉して、携帯食料もらってくるニャ」
「おう、
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