14 「★★★★『女王リオレイアの狩猟』」
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晩経っちまったな…」
「……兎に角、直ぐに向かいます。帰り用の竜車の手配はお願いできますか。明日には着くように」
「おう、任せておきな。行きは――」
「村人の目があるので、一応ここを出て暫くは。途中下車しますから」
「ちょ、ちょっと待って」
ぽんぽんと決まっていく話の中に、エリザが割り込んだ。普段となんら変わらない着流し姿のナギの羽織を握り、その顔を見上げる。これから1人でリオレイアを相手にするというのに、なんの気負いも感じない、まさに“普段通り”の様子だ。
「明日にはって…あんた、1人でリオレイアを1日で倒せるの!?」
通常大型モンスターを狩猟するには、ベテランのパーティでも3,4日、時には1週間程度の時間をかけてじわじわと体力を削っていく。それを1人で、1日でなんて、規格外以外のなにものでもない。
ところが彼女の密かに尊敬している師はのたまったのだ。
「ああ。レイアの疲労具合にも寄るが、まあ3時間あれば確実だろう」
3 時 間 あ れ ば 確 実 。
ピシリと固まった弟子2人の頭を撫でると、ナギは身を翻した。
門前で待っていたガーグァ車は、事情を聞いているのだろう、食料も何も乗っていない空の車だ。滑るように飛び乗ると同時、鞭打たれたガーグァは全速力で走り出した。
「……たかがアオアシラ1頭に4日も5日もかけてるあたしたちって…なんなの……」
「リオレイアって、3時間で狩れるようなモンスターだっけ?」
あるぇー
わざとらしく首をかしげたリーゼロッテだが、ピクピクと動く頬筋のけいれんは抑えられない。さも当たり前のようにサラッといったところがナギらしいといえばナギらしいが、それが誇張でもなんでもないことがそこから伺えて、逆に響いた。
「……彼が、エリザたちの師?」
呆然。オディルがやっと追いついたようだ。
******
「御者さん、ここら辺で」
「うニャ。本当に良いのかニャ?」
「ああ」
ここからどうやって孤島まで向かうんだといった風に首をかしげながらも、ナギを車からおろした御者アイルーは「ご武運を祈るニャ」と言うと、そのままとなりの村に向かって去っていった。すぐに戻っては村人に感づかれるから、暇を潰してくれるのだ。
それを見送ると、ナギはなれたように指を口に持っていく。
ピュゥイ!
山間に響く指笛。頭上から影が舞い降りた。その背に掴まっていたルイーズを腕に抱えて、彼女とデュラクに事情を説明する。
「にゃっふー! アホだニャ! 死にたがりは死ニャしてやるのがいいニャ!」
「まあまあ…そういうわけにも行かないだろ。まあ兎に角そういうことだから、デュラク、半日で行けるか?」
ピィ!
また一段と飛行速度が上がった
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