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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
14 「★★★★『女王リオレイアの狩猟』」
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の依頼はないの!?」
「ありません! だって今孤島はカエンヌさんが向かってるリオレイアのテリトリーなんだもん!」

 ついつい敬語が抜ける。
 恨むべきはハンターズギルドのギルド規定。獲物の取り合いをしないよう、一度受諾したクエストは他の者が受けられないようになっているのだ。かつて取り合いがあってそれが大事になったからこそ作られた規定だが、それが今では足枷と合っていた。
 その場を収めたのは、すでにカウンターのマスコット化しているギルドマネージャーだった。

「大丈夫じゃ」
「何がですか!」
「ヤツには、孤島でハチミツの採集をたのもうとしよう」

 その手に握られているのは、新たな依頼用紙。依頼人はギルドマネージャー、依頼内容はハチミツ10瓶の納品だった。
 そうだ、依頼がないなら作ってしまえ。

「人命がかかっておるからな。ひょっひょっ」

 ナギが着いたのはそれから20分後。足の速いガーグァ車でも2、3時間はかかる渓流の奥地から来たと考えると、驚異的な早さである。村の忙しない様子から何かあったのだと悟ったのだろう、早足にリーゼ達に近づくと、何があったのか尋ねた。

「お願いです。力を貸してくださいませんか、ナギさま」
「一体どうしたんです? 誰を?」
「カエンヌ・ベルフォンツィ。先週あんたに喧嘩ふっかけてきたあいつよ」
「カエンヌさん、腕を怪我してたのにクエストを受けて行っちゃったんです!」

 村長、エリザ、リーゼロッテと、3人とも多少混乱しているのだろう、ややちぐはぐな説明にも大体の事情を悟ったナギが、一番冷静だと思えるギルドマネージャーに視線をやった。と、見慣れない顔に気づく。

「オディル・ヴェローナ、エリザの姉だ。妹が世話になったようで、感謝する」
「ナギ・カームゲイルです」
「先日、どうやら私がまだ寝ていたとき、カエンヌが君に喧嘩をふっかけたと聞いた。パートナーとして代わりに謝罪させてほしい。そして本当に申し訳ないんだが、あいつを、助けてほしいんだ…」
「ひょっ。ヤツが受けたのはこれだ。チミなら何日かかる?」

 ギルドマネージャーから受け取った用紙の写しを見て、「半日」と答えた。ギルドマネージャーと村長は既にナギの持つ“翼”についてを知っていたから、驚きつつも「これなら…」と期待に目を輝かせる。オディルは何を言っているのかついていけない。
 孤島は、村から5日かかる砂原のさらに向こう側にある。
 孤島のベースキャンプに着くには、島に最も近い沿岸までユクモ村から竜車で1週間、そこから船に乗って丸1日かかる。カエンヌが順調に進んでいたとして、孤島のベースキャンプに付いて現在3日目かそれくらいだろうか。自然と表情が厳しくなる。ギルドマネージャーもいつになく深刻な顔をした。

「2
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