14 「★★★★『女王リオレイアの狩猟』」
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てある自分の得物――アイシクルファングを持ち上げた。信頼の置けるこの重量は、身に纏うレウスシリーズと共にカエンヌの実力の象徴となっていた。掲示板の前に立ちめぼしいものはないか物色する。
(…リオレイア。フィールドは、孤島か……)
竜車に乗っているあいだに疲れも取れるだろう。カウンターに持っていくと、困惑するシャンテを無視して無理やりクエスト受諾の判を捺させた。竜車は明日の昼ごろに出る予定だ。
あの男がたやすく退けたというリオレイアの狩猟クエストに敢えてしたのは、偶然ではない。
(オディル、オレは強くなる。村も、お前も守れるように)
村の医院に足を運び、眠る彼女の枕元に立つとぐっと拳を強く握り締めた。怪我の影響で熱が出ている彼女に、誓う。
その日、カエンヌは自宅に戻ると防具を脱ぎ捨てるやいなやベッドに倒れこみ、数分もせぬうちに家には安らかな寝息だけが聞こえるのだった。
オディルが目を覚ましたのは、カエンヌがリーゼロッテやエリザの制止を振り切って旅立った8日後の事だった。ちょうどそろそろ彼の方も孤島に着くかどうかといったところである。
怪我の治りも順調で、このまま行けばハンター稼業は2週間後には問題なくできるだろうとのことだ。誰よりも彼女の身を案じていたエリザは嬉しさに姉の首にかじりついて、彼女がいない間に起きた自分の身の回りについて話していた。主にその内容は師たるナギのことである。オディルもまた鍛冶屋の娘らしく、ナギの狩猟弓について熱く熱くエリザが語りだしたとき一緒になって論議を交わすのを、リーゼは若干引きながらも微笑ましく見守る。
そんなオディルが、普段はうざったいほどひっついてくるにもかかわらずいつまでたっても見舞いに来ないカエンヌについて尋ねたのは、彼女が目覚めてかれこれ3日たった朝のことだった。
「そういえば、カエンヌはどこだ? もう家に帰れたのだろう?」
「え? カエンヌなら、姉さんたちが帰ってきた次の日にまたクエスト受諾して行ったけど。場所は…どこだったっけ? 忘れたわ」
「なんだって!?」
ガバリと起き上がって「いたた…」と呻くオディルは、だが心配するエリザの言葉を遮ってその腕を強く握った。その必死さにエリザも何事かと眉をひそめる。
「なんで止めなかった!?」
「なんでって…一応止めたわよ。『まだ昨日の今日なんだから、もう何日か休んで行きなさいよ』って。でもあいつ竜車の上で休めるからとか言って、誰の言うことも聞かなかったのよ」
「知らないのか? カエンヌも負傷しているんだ!」
「なんですって?」
慌てて村長と補佐の男性、ギルドからシャンテ、それにハンターとしてリーゼロッテを呼ぶと、医師も同席して急遽それについて告白した。
「まあ
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